慌ただしい日常 浸食される俺の日々
家庭訪問のお話です。 冴子さん登場!
土曜日、俺達の家庭訪問の日がやって来た。
俺とカレンは菖蒲先生と一緒に帰宅し、今リビングで冴子さんを待っている。
「どうして、一緒に帰るなんて言ってきたんですか?」
俺は向かいに座る、先生にそう聞く。
「逃げられたらかなわんからな、特にカレンは逃げそうだしな」
「な、そんなことないデス。もう覚悟はできてますデス」
隣に座るカレンが、侵害だと言わんばかりに声を上げる。
「たっだいま~。おや、もう先生が来てるの~?」
玄関の方から、冴子さんの声が聴こえてきた。
「少し挨拶に行ってくる。逃がすなよ、神藤」
先生はそう言って、リビングから出ていく。
「今のうちに言っておくが、カレン。絶対に変なことを言うなよ?」
「変なことデス?」
不思議そうに小首をかしげる。
「一緒に寝たとか、覗かないとかだよ」
「? 分かったデス」
不思議そうな顔だ。不安になってくる。
「おい、神藤。どうなっているんだ?」
先生が、走って戻ってきた。
「どうしたんですか?」
「玄関に行ったら、“何故か小学生がいたぞ”」
「は? 何を言ってるんですか?」
「あれ~、先生どうしたんですか?」
少し遅れて、白いワンピース姿の冴子さんがリビングに入ってくる。
「あ、冴子さん。お久しぶりデス」
カレンが立ち上がって、冴子さんもとへと駆け足で行く。
「え、この人が冴子さんなのか?」
先生が目を白黒させて、冴子さんを見る。
「そうですよ。いつも二人がお世話になっています」
冴子さんはかぶっていた麦わら帽子を取って、頭を下げた。
「いや、こちらこそ」
先生の様子から、冴子さんを小学生と勘違いしていたのは間違えなさそうだ。
カレンよりも身長が低いので、小学生に見えても仕方ないのかもしれない。
「どったん? いっ君」
マジマジと見ていると、冴子さんにそう聞かれてしまう。
「いや、何でもないです。今、お茶をいれますね」
こうして、家庭訪問の幕が開けた。
・・・・・・・・・・
「二人とも元気そうでよかったです」
「ですがカレンさんの破天荒さは少し目に余りますので、指導していけたらと……」
先ほどから目の前で繰り広げられる会話に、違和感で背中がかゆくなってくる。
リビングのテーブルを囲い、俺とカレンが横並びで座って、その向かいに先生と冴子さんが座って話をしているのだが、二人とも真面目なのだ。
「そうですね。注意しておきます」
冴子さんがまじめな返答をし――
「はい、よろしくお願いします」
先生がラフな口調ではなく、敬語を使って頭を下げる。
「カオスデス……」
「だよな……」
カレンのつぶやきに俺はそう返す。
「どうしたんですか? 二人とも」
冴子さんが怖い笑顔を向けてくる。
「いや、何でもないです」
「そうだ、神藤。宿題は終わっているのか?」
先生がそう聞いてきた。
「はい、もう終わってます」
今日が家庭訪問だったので、昼休みに終わらせたのだ。
「流石だな。おっと、すごいですね。期待の生徒なだけはあります」
気持ち悪い、気持ち悪い、気持ち悪い。
「顔色が悪いデスね? 部屋で休みますデス?」
カレンが心配そうに聞いてくれる。
「いや、大丈夫だ。すまん」
俺は気合を入れ直して、家庭訪問が終わるまで耐えるのだった。
・・・・・・・・・・
「ふひぃ~。終わったです~」
先生を玄関で見送った後、リビングに戻ると冴子さんがソファーでくつろいでいた。
「お疲れ様です。何か飲みますか?」
「今は良いよ。てか、いっ君。ひどくない?」
冴子さんはそう言って、自分の隣をポンポンと叩いたのでその場所に座る。
「何がですか」
「だって、笑い堪えてたじゃん。私だって、仕事モードはしんどいだよ?」
「ああ、すみません」
「フフ、冗談だよ~。でもバツとして、少しだけ~」
冴子さんが俺の膝に頭を置いて、寝転ぶ。
「えっと、冴子さん?」
突然の行動に戸惑う。
「ふふ、元気チャージ」
冴子さんが幸せそうに、顔をふやけさせる。
少し照れくさいなって、鼻をかく。
「あ~、紗子さん! ずるいデス。サムライマスター、私にもするデス」
リビングに入ってきたカレンが、声を上げて近づいてくる。
「え~、今日くらいいいじゃん~。何時もしてもらってるんでしょ?」
「してません」
「いっ君、それはないんじゃない?」
「何でですか?」
「だって、こんな美少女と住んでいて、手を出さないって……」
「な、何言ってんですか!」
「デスよね? 私も不思議デス」
カレンが膝立ちで、俺の顔を見てくる。
「バカなこと言ってないで、晩御飯の準備するぞ」
俺はサッと立ち上がった。
「きゃっ。いっ君、ひどい~。嫌いだよ~」
ソファーに頭を打ち付けた冴子さんが、頭をこすりながら非難の声を出す。
「変なこと言うからですよ。……あ、今日の晩御飯は冴子さんの好きなオムライスですよ」
機嫌が戻るかもと思って、晩御飯を伝える。
「え? いっ君、愛してる~」
今しがた嫌いと言っておきながらこの変わり様、本当に機嫌が戻るとは……
「あ、サラダは私が作るデス」
「お、じゃぁ、私は何をすればいいかな?」
カレンに続き、冴子さんも立ち上がる。
「いや、たまにはゆっくりしてください」
「デス、デス」
俺が振り返って冴子さんにそう言うと、カレンも同意してくれた。
「うひゃ~、優しい~。ありがとう。楽しみにしてるね!」
冴子さんはニコニコと笑顔を浮かべて、ソファーに座り直した。
今日はいつもより、最高のオムライスを作ろう。
気合を入れて、調理をするのだった。
ロり要素を気が付いたらいれてしまいますね(笑)
さて、冴子さん登場です。
ちょこちょこ出ていましたが、本格登場です。
これで登場人物はでそろったかな? 公募に出せる量は書くのでお付き合いいただけましたらと(笑)
これからも、カレン達の姿を可愛く、面白く進化させていくのでよろしくお願いいたします。
では、次回もお会いできましたら嬉しいです。




