俺の生活はやはり侵食されている
なんとか一日をやり過ごすカレンと樹。
だが、授業中に放送がなって……
「カレン、これは不味いんじゃないか?」
「そうなのデス」
夜、リビングで早速作戦会議を始める。
カレンに逃げる理由を聞いたら、ここに住んでいることは内緒にしてあるとの事だった。
「そもそも書類はどうやってごまかしたんだ?」
「冴子さんが、弁護士と何かをちょろちょろしてたデス。私は言われたこと……両親は転勤デスを、言っておけば済むと言われましたデス」
なるほど……冴子さんの責任だな。
「少し待ってろ」
俺は立ち上がって、電話をかける。
『にゃん、にゃん、どったん? いっ君』
今日はやけにテンションが高い、お酒を飲んでいるようだ。
「今、忙しいですか?」
礼儀として、確認を取る。
『んにゃ、セクハラ飲み会だから、むしろ助かるにゃん』
冴子さんは以前に目撃して分かったのだが、めっぽう酒に弱く飲むと何故か猫化するのだ。
「それは都合がよかったです。相談があって電話をさせてもらいました」
『ん~。子供でもできたにゃん?』
「どうしてそうなんだよ!」
つい、カレンの方を見ながら声を上げてしまう。
カレンは小首をかしげている。
『にゃフフフ、冗談にゃ。で、まじめな話どうしたにゃん?』
語尾がにゃんで、まじめな話って……
色々ツッコミをいれたかったが、ここは黙って話を進めよう。
「実は家庭訪問がありまして、カレンはどのような対応すればいいのかと……」
『にゃるほど! それは、冴子さんにまっかせにゃさい。ごほっ』
見なくても分かる。たぶん、小さな胸を叩いてむせたんだろうな。
「ありがとうございます。もう少し引き延ばしておきます」
『うん、明日にでも電話をしておくにゃ。ごめん、上司が呼んでいるから行くにゃ~』
「はい、飲みすぎないように気をつけてください」
俺はそう言って、電話を切った。
「カレン、冴子さんが明日にでも電話をしてくれるそうだ」
振り返って、カレンにそう伝える。
「おぉ、それは助かるデス。これでこそこそ、一人で帰る必要が無くなるデス」
カレンは嬉しそうに、笑みを浮かべた。
「もしかして、最近部活がなかったのって……」
「そうですよ、菖蒲先生怖いデス。まくのに必死でしたデス」
カレンはスキップで、俺の側に来てそう言ってくる。
「そうだったんだな」
「これで、放課後に遊べます! 安心したら、お腹がすいてしまったのデス。サムライマスター」
俺を見上げながら、目を見つめてきた。
「晩御飯にするか! 和花にもらった漬物がうまいんだよ」
「む~、優しく頭を撫でるか、キスするところデスよ」
カレンが訳の分からないことを言ってくる。
「はぁ、バカ言ってないで手伝ってくれ」
カレンの頭に手とういれた。
「痛いデス」
俺は何も言わずに、冷蔵庫の前に移動する。
「こうなったら、胃袋を掴んで見せるデス」
カレンはそう声を出して、俺より先に冷蔵庫の前に移動して行く。
この日カレンが作った鳥の唐揚げは、悔しいことに人生で一番美味しい唐揚げだと思った。
・・・・・・・・・・
ピンポンパンポン。「あ~、授業中失礼する。ただいまよりカレンを拘束するので、焦らないでくれ」
六限目の途中、突然不穏なアナウンス放送が流れる。
俺はカレンの方を向く。カレンの姿はなく、視線だけ動かして周辺を見ると、後ろのドアから出ようとしている中腰のカレンがいた。
どうやら逃げるようだな。
「よう、カレン。やっぱり来たな」
だが、ドアを開けようとしたところでドアが開き、菖蒲先生が待ち構えていた。
「く、やりますデスね……しかし、くらうデス」
カレンはそう言って、菖蒲先生にタックルを入れる勢いで突っ込んで行く。
「はぁ、バカめが」
カレンはあっけなくとらえられてしまう。
「にゃ~、放すデス」
腰を掴まれて、そのまま持ち上げられてしまっていた。
「では、失礼した」
菖蒲先生はそう言い残し、教室のドアを閉めて去って行く。
これは不味いかもな……
「先生、腹痛がヤバいので、トイレ行ってきます」
俺は立ち上がりそう声を出して、駆け足で教室を出る。
・・・・・・・・・・
「失礼します」
俺は急いで職員室へとやって来た。
授業中のせいか、殆ど先生はいない。
「うん? 君、どうしたんだ? 授業中じゃないのか?」
俺が入ってきたことに気が付いた、校長先生が声をかけてきた。
「少し先生に頼まれごとをされまして、菖蒲先生はどちらにいますか?」
「? 菖蒲先生なら、進路指導室だ。代わりに伝えておくぞ」
俺を疑っているような目つきだ、まあ嘘なんだけど。
「いえ、直接伝える必要があるので。失礼します」
頭を下げて、足早に職員室を出ていく。
すぐ横にある進路指導室のドアを、ノックをせずに開ける。
「さ、サムライマスター」
カレンが俺に気が付いて、笑みを浮かべた。
「ぬ? 何だ、神藤。授業中だぞ」
椅子に座っていた菖蒲先生が視線を向け、怒っているような声でそう言ってくる。
「カレンに何の用ですか?」
俺は菖蒲先生の前に行き、カレンをかばうように立って、そう聞く。
「ふん、神藤には関係ないことだ」
「関係あります」
「ほう、どうしてだ?」
「カレンは俺の家族みたいなもんなんです。関係はあるはずです」
「サムライマスター……」
カレンが俺の制服の袖を軽く引っ張ってきた。
「フハハハハ、言うね~。まあ、そこまで言うならいいぞ、教えてやる」
先生は驚いた顔をして、笑ってそう言ってくれる。
何か今更ながら、恥ずかしくなってきた。
「ありがとうございます」
俺はそれだけ言って、先生話に耳を傾ける。
「まずはカレンの家だが、これは神藤は知ってるはずだよな? 別に書類に不備はなかったし、昼休みに電話で話はうかがっている。今回呼び出したのは、不純なことがないのか、生徒同士で暮らすのは不味いのではないかという事への聞き取りだ」
「ですから、菖蒲先生。私と、サムライマスターはそう言う関係じゃないデス」
カレンがそう声を上げた。
「そうだな、さっき言ってたな。こいつはヘタレだって」
おい、カレン。何を言ったんだ?
「そうですよ、風呂は覗かず、一緒に寝ても何もしてこない。そういう人なのデス」
おい、やめろ。やめてくれ。
「だが、今の態度からして、神藤はお前に気があるぞ」
「ふぇ! 本当なのデスか? サムライマスター」
カレンが袖をくいくい、引っ張ってくる。
「ないない。からかうのはよしてくださいよ」
俺は先生の方を向いたまま、そう言う。
「本当か?」
「本当ですよ。俺は恋愛に興味はありません。今は、特待生制度に選ばれるように努力している途中なので」
「そうかい、そうかい。まあ、二人の家庭訪問は、今週末に決まったから、覚悟しとくんだな」
先生はケラケラと笑って、楽しそうだ。
「マジかよ」
俺はカレンの方を向いて、そう聞く。
「みたいなのデス」
これは、何か嫌な予感がするな。
「聞き取りも終わったし、もう戻ってもいいぞ。あ、神藤は放課後も来るようにな」
「え? 何でですか?」
「授業中に抜け出したんだから、そりゃ罰はあるわな」
俺はその言葉と先生の顔に、背筋が凍ったよな感覚に襲われたのだった。
こんにちは、狸寝入りです!お読みいただきありがとうございますです! この小説もついに五万文字目前! かなり早いペースな気もします笑
今の私に出せる全力のラブコメをとどけたいと思ってますので、ぜひ最後まで読んでもらえると嬉しいです!まあ、まだまだ話数はあるんてすがね笑それではまたお会いしましょうです~(スマホで後書きはかきにくいですな~笑)




