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#1 高校生活前半から侵食

ここから、本編スタートです!

 俺、神藤樹しんどういつきは、親戚の叔母にあたる冴子さえこさんと暮らしている。


 理由は両親が中学2年の時に愛人をつくって、姿をくらましたからだ。


 本当にくだらない。大人がする事とは、思えない。


 でも、俺としては少し助かったのも事実だ。俺は過去を捨て、この街で俺は新たに人生を始めている。


 あの、忌々しい過去は俺には不要だ。


「おはよう! 樹君」


 身支度を整えて玄関を出ると、横の家の玄関がしまる音と同時に、となりに住む、熊谷和花くまがやのどかがそう声をかけてきた。


「おはよう。じゃ、行くか」


 別に待ち合わせをしてるでもなく、高校に入ってからは、何故かよく登校時間が被る。


 和花とは中学2年の時に、転校してすぐ知り合った。


 ショートボブの髪型で、おっとりした印象を与える、タレ目がちな目が保護欲のようなものをかきたてる。


 身長は170センチある俺の頭一つ分以上に小さいのに、胸だけは何故かデカイ。


 そのせいか、制服のカッターシャツの上に何時もブレザーを着ている。


 小動物系女子という言葉が、しっくりくるやつだ。


 とりとめのない会話しながら歩く。学校の事や、昨日のテレビの事なんかを話していたら、あっという間に学校に着いた。


「じゃ、また放課後に!」


 和花とはクラスが違うので、昇降口でお別れだ。


 俺は手を上げて返事を返し、自分のクラスに向かう。


 何もない日常、幸せの時間。


 自分の席に座り、担任の東郷菖とうごうあやめの到着を待つ。


 その時間を無駄にしたくないので、英単語帳を開き、頭の中で音読して過ごす。


「待たせたな。今日、このクラスに新たに一人加わる。仲良くしてやってくれ!」


 男勝りなこの人こそ、担任の菖先生だ。


 しかし、今は四月の中頃、つまり俺がこの高校に入学してまだ一ヶ月しか経っていないことになる。


 こんな時期から登校なんて、珍しいな。


 まあ、俺には関係ない事だ。


 俺は考えるのを止めて、英単語を頭にいれていく。


「ハ~イ。皆さん、おはようございますデス。私は、秋篠あきしのカレンといいます。よろしくお願いしますデス」


「おい、カレン。渡した制服は?」


「私は、この服に魂を込めてます! なので、心配無用デス」


「いや、校則だから着替えてこい」


「そうなのですか? なら、先生怖いので、諦めますデス」


「着替えたら、後ろから二番目。空いてる席に座れ」


「了解デ~ス! おや? あれはまさか?」


 パタパタと俺の側に誰か来たと思い、顔を上げようとしたところで、肩を揺すられる。


「やっぱり! サムライマスターデス! お久しぶりデス」


「ん? げっ」 


 その揺すってきたやつの顔を見て、俺はそう声を出してしまう。


 忘れるはずもない。三年前と変わらない、綺麗な金色の艶のあるロングヘアーに、俺を見て輝く、翡翠ひすい色の瞳。


 間違えなく、俺の小学校から中学2年生前半まで住んでいた家の隣に住んでいた女の子。いわゆる幼なじみ、カレンがそこに立っていた。


 何故か、カッターシャツの上にユニオンジャックの紺のパーカーを羽織っている。


「もう、バルハラとの戦いは終わったのですか?」


 やめて、やめてくれ。


「ん? 君、どこかであったこと会ったっけ?」


 俺はとぼけて、そう返す。


「Why? サムライマスター、記憶を失くしたのですか?」


「おい、もう授業が始まる。知り合いか知らんが、後にしろ」


 いいぞ、菖先生。もっと言ってやれ。


「それは、ダメデス! サムライマスターは、世界を救う凄い人なのデス! だから、これはとても大切な話なのデス!」


 その言葉に今まで黙っていた、クラスメイト達がざわめき出す。 


「そんなもん知らん! 席に座れ、カレン」


「う~」


 俺の方をみて不満そうな声を漏らし、渋々といった様子で自分の席に座る。


 とにかく、一時間目の終わりまでに作戦をたてねば。


 ・・・・・・・・・・・・


 結論から言って、俺は逃げた。


 授業の合間の休み時間は、トイレで過ごし。昼休みの今は、将棋部の部室で何時も通り過ごすことにした。


「やあ、樹。今朝は面白かったね?」


 部室にはいると、同じクラスの大和芳やまとかおるがそう、笑いかけてくる。


「何が、面白いんだよ」


 俺は芳の向かいに机を運び、弁当を置いて、側にあった椅子に座る。


 別に俺達は将棋部にはいっているわけではないが、静かだしここで食べようと、芳が誘ってきて以来、ここで昼をとっているのだ。


「カレンって子とは知り合いなの?」


 購買で買ったであろうジャムパンを一口食べてから、芳はそう聞いてきた。


「違う……いや、小学校から中2の途中まで、同じ学校だったんだよ」


 ごまかそうと思ったが、色々と世話になっている芳には、本当のことを言う。


「素直なのは、樹の良いところだね! じゃ、何でごまかしたの?」


「昔、色々とあったんだよ」


 そこは触れて欲しくないので、濁して言うと、「そっか」とあえて深堀はしてこなかった。


 芳のこういうところが、俺は良いと思っている。


 芳とは中学三年からの付き合いだが、これからも何となくだが、一緒に過ごすことになりそうだと思った。


「まあ、そういう感じで、俺はとりあえず逃げようと思っている」


「それは良いけど、熊谷さんにはちゃんと言いなよ?」


「どうしてここで、和花の話になるんだ?」


 俺がそう聞き返すと、やれやれといった感じで頭をふって、パンをまた食べ始めた。


 訳が分からないまま、俺も自分の弁当のハンバーグを箸で切って、頬張っる。


 冷めても美味しいように、胡椒を多めに入れて味を濃くしたのは、やはり正解だと思った。


 そこからは次のテストの話をしながら、教室に戻る。


 先生がいる手前、カレンもおとなしくしていた。


 ・・・・・・・・・・・・


 放課後に成や否や、俺は和花になにも言わないまま、学校を後にする。


 後で小言は確実だなと思いながら、スーパーに立ち寄った。


 せっかくなら、和花の好きなものでも作って、機嫌をとろうという算段だ。


 俺は冴子さんと住んでいるが、仕事の都合でほとんど帰ってこない。


 また和花の両親も多忙なようで、留守にしがちなのだ。


 晩御飯を一人分作る手間を考えた結果、和花の方の都合がいいときは二人で食べようと自然とそうなった。


 今日は食べに来るかを聞き忘れたが、残れば弁当にしてしまえばいいだけだ。


 生憎、携帯は経済的にこれ以上負担をかけたくないので、持っていない。


 冴子さんは何度か聞いてくれたんだけど丁重に断った。


 牛ミンチ、玉ねぎ、トマト缶。後はパスタをかごにいれたら、買う物はないかな……あ、新作のバーゲンダッツ食べたいって言ってたな。


 俺はアイス売場に行き、お目当てのアイスも買って、帰宅する。


 ・・・・・・・・・・・・


「あれ? 冴子さん帰ったのかな?」


 玄関をくぐると、洗面所の方で、物音がしていた。


「ただいま」


 そう言いながら、リビングに荷物を運ぶ。


 リビングは八畳ほどの広さで、冷蔵庫や食器棚の他に、四人がけテーブルと四十二インチの液晶テレビ、そのテレビの前に、三人でも座れるサイズのソファーが置いてある。


 全て冴子さんが、一人暮らしの頃から置いてあったものだ。


 不思議に思って理由を聞いたら、同僚がたまに来てたからとのことだった。


 洗面所が使えそうにないので、キッチンの流しで手を洗う。


 手を洗い終えたら、素早くアイスを冷凍庫にいる。


 冴子さんがいるならまた次の晩御飯の後に、食べることになるな。


 荷物を直し終えて、二階にある自室に移動した。


 制服から部屋着に着替え、今日習った数学の復習を始める。


 これが俺の、ルーティングだ。


 毎日欠かさず帰宅直後に、その日の授業の復習を一時間。


 その後、晩御飯等を済まして、また二十二時まで勉強をする。


 俺の通うひいらぎ高校は、3年間の学業優秀者にたいして、同じ系列の大学に無償で通える推薦状をだしてくれるのだ。  


 その制度を使い、司法学部のある大学に行き、紗子さんに恩返しをしようと考えている。


 数学の復習を終えた俺は、次は国語の渡された宿題のプリントと、教科書を取り出す。


「この作者の気持ちを答えろか……」


 何々、トムいず便器マイフレンド。これはトムと便器の物語。


 訳が分からない。


 内容を少し読んでも、その感想しか出てこない。


 答えは何だ?


 俺は仕方がないので、教科書を開き、答えのページを見ることにする。


 わけがわからないよ、目の赤い白い生き物のイラストとともにそう書かれていた。


「ふざけてんじゃねぇぞ!」


 次だ次。この漢字の読みを答えろ。


 海鼠と書かれている。


「これは、普通だな。海鼠なまこと……」


 その後も順調に問題を解いて、国語の宿題が終わった。


 その直後、後ろの扉が開く音がする。


「あ、冴子さえこさん。お疲れさまです……」


 俺は振り返りながら、そう言葉を掛けた。



ダブルヒロインです! どちらが好きそうですかね? ここから話は進んでいきます!ぜひ次の話も読んでもらえたら嬉しいです!

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