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友人も侵食?

カレンの秘密を知って、一夜明けて……

「サムライマスター。あ~んデス」


 朝、朝食を食べていると隣に座るカレンが、卵焼きを俺に差し出してきた。


「いや、自分で食べるから……」


 俺は、味噌汁を飲む。


「樹君。はい、食べて」


 向かいに座る和花が、ホウレン草のお浸しを差し出してくる。


「……」


 俺は見えていないかのように、自分のご飯を食べ進めていく。


 どうしてこうなったんだろう?


 俺はただ静かに暮らすためとけじめをつけたくて、カレンの過去調べただけなのに。


 俺は心を落ち着かせて、二人を無視し続けるのだった。


 ・・・・・・・・・・


「それってひどくない?」


 朝の事を少し脚色(和花がカレンも誘ったことにして)芳に話すと、そう言われてしまう。


「いや、カレンはともか和花まで悪乗りしてくるなんて、おかしくないか?」


「いや、おかしくないよ。ホントに、樹は鈍感だね」


「鈍感って、この行為の何処にそんな要素があるんだ?」


「そうだね~」


 芳は適当そうな声を出して、紙パックのコーヒーを飲み始めた。


「なあ、まじめに考えてくれよ。こんな生活じゃ、特待卒業の目的が……」


「まじめだよ。まあ、勉強ができないのは良くないよね? 熊谷さんのためにも……」


 そう言って、ニヤニヤと俺を見てくる。


「なんだよ」


「別に~。勉強なら、今日放課後に集まらない?」


 確かに誰かとやった方が、はかどるしな……


「いいぞ。図書室でいいか?」


「え? 熊谷さんも誘いたいから、樹の家でよくない?」


 その言葉に俺は固まる。


「樹? 都合悪い?」


「いや、大丈夫だぞ」


 これ以上黙っていたら怪しまれそうなので、そう返事を返す。


 カレンの部屋にさえ入らなければ、大丈夫だろう。


「良かった。じゃぁ、僕はこの後少し用事があるからこれで……」


 芳はそう言って手を振って、去っていた。


 ・・・・・・・・・・


「お邪魔します」


「おう、あがってくれ。和花は先に来てるぞ」


 玄関で、芳を出迎える。


 校則で寄り道が禁止とされてるからと言って、わざわざ着替えてから来たのだ。


 何時もの事ながら、まじめだな。


「あ、これ……お茶菓子に食べて?」


 そう言って、紙袋を手渡してくれる。これは近くの有名なケーキ屋の袋だ。


「悪いな」


「いいって。それより、勉強頑張ろう」


 笑顔を浮かべた芳に、ドキッとしてしまう。


 中性的な顔立ちで、制服とは違うお洒落な服装のせいか女子のように見えてしまったのだ。


「どうしたの?」


 芳が、不思議そうな顔で聞いきた。


「いや、な、何でもない。ほら、リビングに行くぞ」


 こうして、俺達の勉強会が始まる。


 リビングのテーブルに腰を掛ける。俺の隣に和花が座り、その向かいに芳が座って数学を解いていく。


 カレンは声をかけようと思ったがすでに帰ってしまっていて、声をかけることができなかった。


 まあ、すぐに帰ってくる事はないだろう。


「この問題、どう解くんだっけ?」


「え、ああ……これはこの式を……」


 和花の疑問に、すかさず芳が解き方を教える。


 こうやってみると、芳はやっぱり容姿が整っていて、和花は幼なじみのひいき目なしに可愛いと思う。


「どうしたの? 樹?」


 じっと見ていると、芳が不思議そうに聞いてくる。


「いや、なんか美男美女で、カップルみたいだなって」


 俺は笑いながらそう返す。


「ぶっっ。ちょっと、冗談でも言っていいことと悪いことがあんだよ?」


 芳は飲んでいた麦茶を吹き出し、盛大にむせながら言ってくる。


「そ、そうだよ。それに私は、美女じゃないし」


 和花もあわてながら、否定してきた。


「悪い悪い、そんな驚くなよ?」


 俺はそう言いながら、テーブルを拭く。


 しかし、たまには人と勉強するのもいいものだな。


 カレンに日本語を教えてはいるが、授業の範囲はやっていない。


 また今度、カレンともやってみるか……


 ・・・・・・・・・・


「ねぇ、そろそろお茶にしない? それとも夕食にする?」


 和花の声に、時計を確認すると19時を少し過ぎていた。


「あ、僕はそろそろ帰るよ。遅くまでごめん」


 芳も時計を見て、そう声を出す。


「え? 晩御飯食べていかないか?」


「うん、今日は家族と食べる約束してるから……ごめん」


「いや、謝ることじゃないけど……そっか、じゃぁ、玄関まで送るな?」


 どこか寂しそうに見えたが、触れないほうがよさそうだったので笑ってそう提案をする。


「うん、ありがと」


 荷物をまとめるのを待って、芳と一緒にリビングを出ると――


「ほぇ? サムライマスター」


 丁度、脱衣所から出てきたカレンと目が合った。


 しかもカレンの服装は、サムライと書かれた白色のロングTシャツに一枚で、タオルを肩にかけズボンをはいていないように見える。


 これは……俺の脳内がざわつく。


「えぇっ! なんで、秋篠さんが……」


 芳も戸惑っているのか、言葉を詰まらせる。


「あわわ、えっと、見なかったことにして下さいデス」


 カレンは慌てて、脱衣所に戻っていった。


 もう、言い訳はできそうにないな。


「えっと……」


「幻覚だ。さ、玄関に行こうか」


 俺はイチかバチか芳の肩を押しながら、玄関に向かう。


「え? え?」


「いや~、勉強して疲れたのかな?」


 すまん、芳。今はまだ説枚できそうにない。落ち着いたらするからな……


 そう思いながら、強引に玄関にたどり着く。


「あの、樹?」


 不安なのか戸惑っているのか、判断をしにくい声を芳が出す。


「悪い。明日、説明するから。また明日」


「う、うん……分かった」


 芳そう言って、家から出って行く。


「ビックリ、しましたデス」


 カレンの声が後ろから聞こえると同時に、俺はその場に座り込んでしまった。

















どうも、狸寝入りです! 物語も加速、加速、加速(笑)


今後の予定としましては、和花の話と普段の日常を混ぜながら、物語を進めていきますです。


「ちゃんとカレンも出番ありますデス」


とのことなので、カレンファンも安心ですね! さて、主人公樹の運命やいかに(笑)


ぜひ、次回も遊びに来て下さいです。

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