過去も侵食されていた? いつもの日常の終わり?
カレンに告白されて、どうして惚れられたのかを知るために動き出した樹……
「「ふぁぁ~」」
登校中、あくびをすると和花も同じタイミングで、あくびをしていた。
今日は珍しくカレンは先に走って行ってしまっている。
「よ、ご両人。昨日はお楽しみですか?」
後ろから肩を叩かれたので振り向くと、関沢さんが半目で俺達を見てきた。
「お楽しみって何だよ?」
「そうだよ? 昨日はちょっと晩くまで樹君を説教してただけだよ」
和花さん、それは言ってはいけないよ。
「おやおや、それはお泊りした可能性が出ましたね?」
目を輝かせて、俺に顔を近づけてくる。
「ないない、誤解だ。ちょっと晩御飯でもめただけだ」
俺は関沢さんの肩を抑えて、距離を離す。
「そうそう、そうだよ」
会話の流れに不穏な気配を察したのか、和花も後押ししてくれる。
実際には、昨日の説教のせいなんだが……
「何か怪しいな~」
まだ疑っているようだ。
「ほら、遅刻するぞ」
俺はそれだけ言って、足早に歩きだした。
・・・・・・・・・・
「なあ、芳。少し相談良いか?」
昼休み、将棋部の部室で芳といつものように食事をしながらそう声をかけた。
「相談? 珍しいね。いいよ」
芳は紙パックの紅茶を飲みながら、そう返事を返してくれる。
「あ、あくまで友達の話なんだけど……」
放す直前で、俺の話じゃないと強調しておく。
「うん、うん。それで」
流石芳だ、疑ってきたり勘ぐってこない。
騙しているようで、心苦しいな。
「そいつがさ、告白されたんだよ」
「え! 樹、告白されたの?」
大きな声を上げ、椅子を固化しそうな勢いで、立ち上がる。
「落ち着けって、珍しいな。俺じゃなくて友達だよ」
俺はそう言って、座るように促す。
「う、うん。そうだよね、友達だよね?」
「そうそう、友達。それでな、どうして好かれたか分からないらしくって、そういう時どうしたらいいのかって……」
「なるほどなるほど。それって意味あるのかな?」
「どういうことだ?」
「だって、好きなら付き合えばいいし。でも、周りの子は大丈夫なの?」
何を気にしているんだ?
「周りの子って?」
「幼馴染とかいないの? その友達」
「いや、それは大丈夫なんだけど……普通にモテないやつだし。それより過去を思い出す良い手はないか?」
これ以上喋っているとボロが出そうなので、早々に一番聞きたいことを聞くことにする。
「過去? そうだな…… それが大切ならアルバムとか見ればいいんじゃないかな? 後は、昔の知合いをあたるとか」
なるほど、なるほど。やっぱり芳は頼りになるな。
「ありがと、友人に言っておく」
「うん、そうしてよ」
芳はそう返事して、残ったメロンパンを口にする。
俺も弁当の残りに、箸をつけていく。
家に帰ったら、昔の物を見てみるか……
残りの昼休みの時間は、次のテスト範囲を予想しあって、問題を出し合い過ごしたのだった。
・・・・・・・・・・
放課後、何時もならカレンがからんでくるのだが、今日は先に帰ってしまった。
珍しいが、ありがたい。
おかげでこうして押し入れの整理ができている。
「あったな……」
昔の俺の物をいれた、小さめの段ボール。
俺の過去、もう二度と思い出したくないものもありそうだ。
ガムテープをはがして、蓋を開ける。
中にはノートが数冊と、剣などのキーホルダーがはいっていた。
これが引っ越す前の俺の荷物。
本当なら全部捨てるつもりだったが、冴子さんのが必要だろうと何故かこの荷物だけ運びだしたのだ。
「どうしてこれを運んだんだ?」
不思議に思いながら、ノートを手に取る。
マイライフオブデス~転生前の記録。
「……」
ノートの表紙に書かれたその文字に、言葉を失う。
当時の俺は何を考えているんだ?
いやまて、この荷物を詰めたのは冴子さんだ。つまり中身を見られているはず……
ヤバい、死にたくなってきた。
他のノートは……エンジェルメモ~俺の嫁たち。(設定資料のため、もう少し思案が必要)
設定資料って言っちゃってるやん! どんだけ頭沸いてんだよ。
自分の事なのに、つい突っ込みを入れてしまう。
最後の一つは……見なくてもいいような気もするが、毒を食らわば皿までだ。
「日記……紗子さんの文字……これを見るってことは、過去を知る必要があるんだね? 泣きたくなったらいつでも電話しておいでか……」
表紙に貼られたメモを読んだ。どういう意味だ?
それほどまでにも、恥ずかしいことが書いてあるんだろうか……
俺は覚悟を決めて、日記に目を通していく。
さてさて、ついに次回過去編ですが、主人公はあなたの中でイケメンですか? という疑問がわいています(笑) コンセプト的にはどこにでもいる男子生徒なんですが、もしこいつカッコよくないな、キモいなって思われてたらこの先が可哀そうなので(笑) ほんとうにカッコいいんですよ? カレンや和花の前だとですが……
次話の内容はこれを書きながら、構想しているのですが少しプロトと違いそうなのですよね(笑)でもこの方が面白いって、自信があるのでそんな中二病な主人公をどうか最後まで愛してあげてください
ではまた次回お待ちしてます~




