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カレンの華麗なる罠⁉ 和花も侵食

夜ご飯を食べに来た、和花を待ち受けるものとは……

「では、明かり落としますデス」


 カレンはそう言うと、照明を暗くした。


 小型のガスコンロの火の明かりが、怪しく動いている。


 俺達は学校の帰りに各々スーパーで食材を買って、何を買ったか言わないまま俺の家に集まったのだ。


「鍋置くね? 出汁は無しでいいんだよね?」


 和花が薄暗い中、土鍋に水をいれて持ってきてくれる。


「はい、怪しく清く、混沌鍋をつくるデス!」


 カレンがそう返事を返す。


「悪いな、運んでもらって」


「ううん、これくらいはね」


 和花が座り、全員揃った。


「誰から、具材をいれていくんだ?」


「私から、和花、サムライマスターの順番でいれていくデス!」


「了解だ。変なものは、いれるなよ?」


「もちろんデ~ス。言いつけ通り、変なものはないデス」


 言いつけというのは、たまたまスーパーで鉢合わせたときにゼリーを手に持っていたので、釘を刺したのだ。


「なら、良いけどな……なんか、臭くないか?」


「うん。カレンちゃん、何をいれてるの?」


「それは秘密デス。食べれるものなので、安心して欲しいのデス」


 怪しい。だが、俺が掬わなければすむはずだ。


 次に和花、俺と具材を投入して、それを三回繰り返したところで蓋をする。


 10分ほど煮込んだところで、ふたをあけ、手を合わせる。


「いただきます」


「いただきます」


「いただくデス」


 今度は俺から順に具材を取っていく。


「お、重い……なんだこれ……」


「箸で一度触れたものは、離してはダメデスよ?」


 く、逃げ場を防がれた。


 これは、カレンが仕込んだものに違いない。


「分かってるよ。……餅か……」


 口の中でもちもちとした触感の後に、お米の味が広がる。


「yes! 和の心デス」


 正解のようだ。当たりを引けたな。


「次は私だね? あ、何だろ……」


 手元しか見えないくらいの暗さなので、和花の表情は分からないが、困惑が伝わってきた。


「大丈夫か?」


 心配になって声をかける。


「はぅ、はふぅ、うん。あっ、熱。なんか、太くって、何か中からドロッと……」


「う、そ、そうか……なんだろうな」


 いかん! 何を考えているんだ俺は。和花が食べているのはたぶん、俺が買ったチーズ入りの練り物だ。


「ひゃ、熱くって、ドロッとしたのが垂れちゃう……」


「なんデスか? 大丈夫デスか?」


「うん、たぶんチーズかな? これ、樹君がいれたの?」


 和花がそう聞いてくる。


「ああ、正解だ。ごめんな」


「? どうして謝るの? 美味しいよ?」


 俺は何だかいけない扉を、開きかけた気がした。


 ・・・・・・・・・・・・


「それでは、私の番デスね。とりぁぁぁ~」


 たぶん勢い良くいれたであろうセルフ効果音をつけながら、カレンがポチャンッと鍋に箸をいれる。


「あ、お前! 暗いんだから、気をつけろよ!」


 本当に危ないので、注意をいれておく。


「すみませんデス。サムライマスター。あ、これ、私がいれた酢昆布デス」


 どうやら、自分でいれた物を引き当てたようだ。


「酢昆布ってお前、美味しいのか?」


「はい。美味しいデス」


「出汁にもなりそうだもんね」


 確かに、言われてみればそうだな。


「次は……おい、変なものはいれてないんだよな?」


 箸に異様な重みを覚えて、そう声を出す。


「私はいれてないよ?」


「わ、私もいれてないデス」


 俺はつかんだ物を箸で切れる部分を切って、口に運ぶ。


 魚? のような生臭い臭いだ。


 口に入れるのすら抵抗がある。


「う、なんだこれ……ドロッとコリっと……」


「だ、大丈夫?」


 和花が心配そうな声を出す。


「ああ、なんだこれ」


 俺はコップのお茶を一気飲みして、そう返事を返した。


「なんだろう? カレンちゃん、何をいれたの?」


 やっぱり、カレンの用意した具材か……


「ふぇ? 私、普通の食材しか入れてないデスよ」


「電気をつけてもいいか?」


「かまわないデスよ?」


 自分の用意した具材が無くなったからか、すんなりと許可が下りる。


「よし、つけるぞ――うぉっ! なんだこれ」


 俺の皿には、亀の甲羅のようなものが入っていた。


「きゃ、な、何をいれたの? カレンちゃん」


「スッポンデスよ。スーパで、おじさんが安く分けてくれたデス」


「なんつうもんを、食わせてくれるんだ!」


「普通の食材デス! 私のテーマは、和の心なのデス」


 確かにそうだ。でも、普通闇鍋に入れるか? 


「確かに、食材としては普通に食べられているよね……」


「ぐっっ、そうだな。悪かった」


 和花の反応に、折れるしかなかった。


 ・・・・・・・・・・・・


「ごちそうさまでした」


 スッポン事件の後は、普通の鍋になって全ての具材を食べ終えた。


「美味しかったね」


「すこし、変なのは混じってたけどな」


「変じゃないデス。精力付く、伝統的な食材デス」


「はぁ、まあ、良いけどさ」


「じゃあ、私はそろそろ帰るね?」


「おう、また明日な」


「え? どうしてデスか? お泊りしていくデス」


「おい、あまり困らすなよ」


「ふふ、ありがとね。また遊びに来るね」


「私、襲われてしまうデス」


 カレンの言葉に、玄関に向おうとしていた和花の動きが止まる。


「どういう意味かな?」


 和花が、カレンの方に振り返ってそう聞く。


「サムライマスターは、スッポンを食べましたデス。精力暴走を起こしそうデス」


「するか! そんなに怖いなら、和花の家に泊めてもらえばいいだろ?」


「うん、私はいいよ?」


「それもダメなのデス」


「どうして?」


 和花がうつむくカレンに、不思議そうに聞いた。


「パンツを荒らされてしまいます」


 しねーよ! カレンの中の俺のイメージって、変態なのか?


 なんか悲しくなってきた。


「どういうことなの?」


「昔、儀式と言いて、私のパンツを触っていたことがありますデス」


「はぁぁぁぁ!? してないだろ? そんな事」


「本当なの? 樹君がそんな……」


 和花がショックを受けた表情になる。


「してない、してない」


「あれは、中学2年の事です――」


 俺の言葉を無視して、カレンが語りだす。


「私の家で遊んでいた時に、タンスからパンツを取り出して、魔法陣の書かれた紙の上に……」


 そこまで聞いて、慌ててカレンの口をふさぐ。


「いや~、何を言ってんだか……」


 ヤバい、思い出した。昔確かにパンツを使って、妖精を召還しようとしたっけ。


「……泊まる」


「え? 何だって」


 声が小さすぎて、聞き返す。


「その慌てよう怪しいから、私、泊まっていくね?」


「ああ、分かった」


 和花の浮かべた笑みに恐怖を感じて、そう言うしかなかった。


「やった~デス。女子会するデス」


 俺の拘束から逃げ出したカレンが、そう声を出す。


 こうして、和花が泊まることになった。




















どうだったでしょうか? 闇鍋怖いですね


そして、次回はお泊りです。私はカレンが書くのが楽しくて仕方ない反面、和花の活躍にも期待してるんですよね(笑)

そして二人の好意に気付かない主人公……爆発しろよです(笑)


ラブコメが好きで始めたこの作品ですが、皆様に好きになってもらえるように精進していきますのでこれからもよろしくお願いします。

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