回復の実
タケルの城で成長促進を使い続けていたある日、私のスキルが成長した。
回復の実?
近くにいたタケルが私の様子に気づく。
「ハスハ、どうした?」
「スキルが成長したみたい」
「効果を教えて欲しい」
「うん、あのね、スキルが成長して【回復の実】っていう新しいスキルを覚えたの。回復効果のある実を作ることが出来るみたい」
タケルは眼を見開いた。
「すぐに試そう!重要なスキルかもしれない」
「う~ん、試してみるわ。回復の実!」
私は大地に手を当ててスキルを発動させる。
地面からピンク色の花が咲き、先端に丸い実をつけた。
木の実が栄養を吸い取るように花が枯れて、実だけが残る。
「スモモの実みたいに見えるわね」
「貰っていいか?」
「大丈夫よ」
タケルは実を食べた。
「うん、旨い」
「だ、大丈夫なの!?」
「大丈夫……」
「どうしたの?」
「傷が、治っている。腕の古傷が消えた!これはポーションを使った時と同じ感覚だった!ここにいる子供たちの死者が激減するぞ!」
「そ、そんな、大げさよ。でも、呪いは治せないのね」
タケルの手のくまどりに変化はない。
「呪いを解ける者は、今いないだろう。遠くにはいるかもしれないが。そんな事より回復スキルは希少だ。だが、これほどの効果なら、回復の実を作るハスハの負担は相当なものになるはずだ!」
「え?もっと作れるわよ」
最近たっぷり寝てたっぷり食べて、皆に顔色が良くなったと言われる。
子供たちはみんなかわいく、イトナや他の子どもたちも小さい子供の世話を協力してくれるのだ。
更に、タケルは私を気遣い、優しくしてくれる。
最近無理をした事は一回もなく、充実しているのだ。
「タケルは心配しすぎよ。私はここに来てから無理をしたことは一度も無いわ」
「それならいいんだ。だが、無理はしないでくれ」
「分かったわ。無理のない範囲で回復の実を作るわね。所でタケル、そろそろ話して欲しいの。私のお母さんとお父さん、そしてタケルの事」
「そう、だな。長くなる。城の中で話す」
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