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ミワクは内政がうまくいかなくなって焦り出す

 ミワクはイトナとハッコウが攫われた後、見張りを強化してそのままの生活を続けたが、異変に気付いた。


 村の人が減っている?


 おかしい。


 男衆はいるが女衆の数が少なすぎる。


 子供はまだいる。だが大人の女衆の数が少ないのだ。


 男に声をかける。

「ちょっと、女衆の姿が見当たらないのだわ。どこに行ったか知らない?」


「女衆は他の幹部の元へ行きましたよ」


 私の勢力から他の幹部の元に移ったの!


 まずい!私の勢力が弱まれば鬼族の幹部の地位も危うい!


「どうして止めなかったのよ!」


「それが、ミワク様にはもう言ってあると言ってそのまま集団で抜け出したんです」


 私は男の頬を叩く。

「止めなさい!のろまが!」


 私ははっとして急いで【魅了】の術をかける。


 この術は異性の鬼族にしか使えない。


 しかも他の幹部のような強い者には効果が無い。


 魅了は格下で男の鬼族にしか使えないのだ。


 ミワクが幹部でいる為に取れる手は格下でも多くの男衆を傘下に加え、更に女衆も傘下に引き入れる事。


 数の力に頼るしかないのだ。


 だがその戦略にひびが入り始めた。


「ねえ、女衆はどこに行ったか分かるう?」

 甘えたような声で男に尋ねる。


 男はうっとりとして先ほど頬を叩かれたことなど忘れたかのように口を開く。


「女衆は、シュテンドウジ様の元へと向かいました」


 ち!


 シュテンドウジは同じ幹部だが、女衆を取り戻そうとすれば、私は殺されるかもしれない。


 取り戻すのは危険だ。


 だが、この村は鬼族の生産の拠点。


 私を簡単に幹部から引きずり下ろす事は出来ないだろう。


 私は畑へと向かった。





 ◇





「無い!無い!無い!無い!野菜が無い!ほとんど収穫されつくしている!」


 私は作物を貯蔵する蔵へと向かった。





「無い!無いわ!どこに行ったの!」


 近くにいる子供に向かって怒鳴る。

「野菜はどこに行ったのよ!」


「成長促進を使うハスハを追い出したので、作物を育てるのは難しいです」


 ミワクはハスハの重要性を分かっていなかった。


 鬼族は基本的に戦闘能力で格を評価するが、それでも他の者ならもっとハスハを高く評価していただろう。


 だがミワクは奇形の角と桃色の髪と瞳、そして混ざり者であることでハスハをいじめ、全く評価しなかったことで今の事態を招いた。


 更に現場の内容を把握せず下の者を叩くことで生産力を上げようとしたが、この方法は短期的には効果があっても、長期的には人が離れうまくいかなくなる。


 まずいまずい!


 他の幹部が物資の補給でこの村に立ち寄り、食料が無い事を知ったら私の立場は無い!


「服と酒はどうなっている?」


「服と酒もあまりありません」


 ミワクは走って在庫を確認しに行った。






「ああああ!服が無い!酒も無い!まずいまずいまずい!」


 服はまだいい。


 だが酒が切れた状態でシュテンドウジが来れば、最悪殺される!


 食料の補給が出来なければガキドウに殺される!


 シュテンドウジは酒が無い事を許せず、ガキドウは食べ物が無いと怒り出すだろう。


 シュテンドウジとガキドウはミワクと同じ鬼族の幹部だが、ミワクよりはるかに強く魅了も効かない。


 考えろ!


 考えて乗り切る、何かある!何かあるはずだ!


「……タケルのせいにしよう」


 ミワクは口角を釣り上げた。


 タケルがハスハや他の者を攫い、この村を襲撃した。

 私は男衆を引き連れてタケルを討ち取り、奴隷を連れて帰る。


 そう、全部タケルのせい。


 私がタケルを討ち取れば何の問題もない。


 よく考えればタケルのくまどりの呪いはかなり太くなっていた。


 いくら強いとはいえ、呪いの力に頼っているに過ぎない。


「くまどりが心臓のある胸の位置まで達すれば、タケルは死ぬ」


 ミワクは兵の準備を進めた。


 だがこの事でミワクは大きなしっぺ返しを食らう事になる。




 

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