3話 冒険者になろう
PV100人超えました!予想したよりもアクセスしてもらえて嬉しかったです。
次は評価やブックマークしてもらえるように頑張ります!
目を覚ますと一面に草原が広がっていた。
一見大自然のように感じるが、道が整備されていることから近くに街があると考えられる。
しばらく歩くと看板を発見した。
「この先、始まりの地」
予想的中!
こな感じからすると、そこまで遠くなさそうだ。
始まりの地というと、リヒトが言っていたところのことだろう。
恐らくファンタジー物でありがちな、世界観の説明があったり、仲間を集めたりする最初の街のことだろう。
うーん、それにしてもあいつに貰ったこの目だが、どうやら相手のステータスが見える以外にも、基礎能力上昇など色々バフがつくみたいだ。
確かに便利だが、何かパットしないな。
圧倒的な力というと、即死魔法とか、不老不死とか、そういうド派手なのを期待してたんだが。
「きゃああああ」
突然、女性の鋭い叫び声が聞こえた。
道を少し逸れた方向からだ。
声のする方に走って向かうと、同年代の女の子が襲われているのを見つけた。
襲っているやつは明らかに人間ではなく、身長140センチ程の小さな身体。
とがった耳に緑色の肌。
前の世界で言うところのゴブリンといったところだ。
魔力を目に集めてゴブリンを見る。
種族:ゴブリン
ランク:E
スキル:無し
耐性:無し
ゴブリンのステータスが浮かび上がる。
凄く弱そうだし、相手は一体だけだ。
これならきっと俺でも勝てるぞ。
拳を握りしめ、ゴブリンの額に叩き込む。
「ぐげえええっ!!」
ゴブリンは激しい断末魔を上げ、倒れた。
うわっ一撃!?
確かに鍛えてはいるが、生き物を殴ったのは初めてだぞ。
もしかして、俺って結構強い?
「大丈夫ですか?」
俺は少女に声をかけた。
そこには、美しい少女が立っていた。
身長はゴブリンと変わらないくらい小柄だが、それに似合わない巨乳。腰まである長いブラウンの髪、大きくクリクリとした瞳は、どことなく小動物っぽい感じ。
「あっあのっ、ありがとうございました!」
彼女の声は、甘く透き通っている。
「いや、お礼なんていいんですよ。当然のことをしたまでというか、なんというか」
まずいぞ。俺が最後に女子としゃべったのは、小6だぞ!! 圧倒的に女子への免疫が足りない。
眩しくって顔を見て話せねえ!!
「本当に何てお礼をしたらいいか」
「いや、ホントにいいんですよ。気にしないでください!」
「リリー! 大丈夫!?」
もう一人少女が近づいてきた。
なるほど、この子はリリーというのか、いい名前だ。
リリーを可愛い系とするならば、もう一人は元気系といった感じで、ピンク色のポニーテールと八重歯が印象的だ。
「この野郎! リリーから離れろー!!」
ちょっと待て、この子なにか勘違いしてないか? 思いっきり拳を振り上げてるし、絶対殴られる。
「いや、ちがっ、俺はそんなんじゃなくって」
「うるさーい!!」
ボコッ!!
辺りに鈍い音が響き渡った。
「ほんっとうにごめん!!」
「いや……気にするなよ」
「あなたがリリーを襲ったんだって、勘違いしちゃったの」
「いや、本当に気にするなよ」
こうしてご飯を奢ってもらってる訳だし。
「アタシはモニカ。こっちはリリーだよ」
「リリーです」
「アイトだ」
「私たち駆け出しの冒険者なんだ」
なるほど、冒険者か。
街をにいた剣や杖をもったやつらもそうなんだろう。
「ねえ、それでもし良かったらなんだけどさ。アタシたちとパーティーを組まない?」
「パーティー?」
やっぱりそういうのもあるのか。
「そう。私たちクエストを受けたいんだけど、二人だけだと少し心細いんだよね」
「あのっ、私からもお願いします! そのっ、アイトさんがいてくれるなら安心ですし……」
おいおいおい!!
美少女二人にこんなこと言われて断るやつがどこにいるんだ!!!
「こちらこそよろしく。俺ここに来たばっかりでよく分からないから、色々教えてくれると嬉しいな」
「よしっ、決まりね!」
モニカは手を打って喜ぶ。
「そうと決まれば善は急げよ。早速ギルドで冒険者登録しましょう!」
「ついたわ! ここがギルドよ。冒険者はここでクエストを受けるの」
へえ、結構イメージ通りだなあ。酒場の中にクエストカウンターと受付があるって感じで、多くの人で賑わっている。
あっ!! あそこにケモ耳がいるじゃないか!!
犬耳に猫耳、うさ耳までいるぞ!! いいなあモフモフしたい。
その他にも、髪の色が違う。リリーやモニカを見て、なんとなく察してはいたが、この世界ではみんな髪色がカラフルだ。
黒髪はこの中だと俺だけだ。
「ちょっと! 聞いてた?」
モニカは頬を膨らませている。
「あっ、ごめん。何の話だっけ?」
「今から冒険者登録するの! ちゃんと聞いてよね!」
「あっ、準備出来たみたいだよ」
受付に案内される。
「今回は冒険者登録で良かったでしょうか?」
「はい」
「では、ステータスを測らせて頂きます。この水晶に手をかざしてください」
受付のお姉さんが水晶を取り出す。
取り出した水晶は、キラキラと光を反射して輝いている。
「登録するときはまず、ステータスを測るんです。そして、測ったステータスを見て、冒険者ランクを決めるんです。ランクはE-からS+まであって、私はCランクなんですよ」
リリーは自慢げな表情で言った。
「へえ、だったらなんでゴブリン相手に苦戦してたんだ?」
「そっ、それは!」
リリーは顔を真っ赤にした。もしかして、聞いちゃまずかったか?
「この子実力はあるんだけど、実戦になるとてんでダメなのよねぇ。ちなみにアタシのランクはD-よ」
「もう! モニカちゃん!!」
リリーは恥ずかしそうに顔を隠してしまった。
へえ、ランクか。リヒトやゴブリンの時に見えたあれのことかな。確かに自分のランクって見た事ないな」
「こうかな?」
「そうです。そして、手に魔力を集めた下さい」
魔力……あの時と同じ感じでいいのか?
「フンッ」
身体のエネルギーを血管を伝わせて、手に集めるイメージ!!
「出ました。えっと、アイトさんのステータスは……」
名前:ミヨシ・アイト
種族:人間
加護:聖龍の加護
スキル:龍の目
耐性:無し
「あっ、加護がついてますね。おめでとうございます!」
「加護?」
「すごいじゃない! 加護持ちなんて!!」
「えっと、良く分からないんだが、そんなにすごいのか?」
「加護というのはとても珍しい物で、持ってる人はとても珍しいんですよ。有名なものだと、火の加護や水の加護といった属性を強化するものや、剣の加護や弓の加護などの武器を強化するものがあるんですが、聖龍の加護というのは初めて見ましたね」
なるほど、これはきっとリヒトとの契約で得たものだ。
リリーたちの反応見たところ、相当いいものをもらったんだろう。
「やっぱりアタシの目に狂いはなかったわ。貴方をパーティーに誘って大正解ね!!」
「モニカにそう言ってもらえると嬉しいよ」
「あれ、おかしいわね」
受付のお姉さんは眉をひそめて言った。
「どうしたんですか?」
「あなたの基礎能力のステータスなんだけど……。はっきり言って異常なのよ」
「異常……?」
「いや、気にしないで。ちょっと水晶の調子が悪いみたい」
お姉さんはごめんなさいと、頭を下げた。
「今回はうまくステータスが測れなかったから、一旦Eランクということで構わないかしら?」
「はい。それで大丈夫です」
どうやら俺が強すぎて力を上手く測れなかったんだろう。異世界モノにありがちな展開だ。
まあそれは、追々実力を見せていけばいいだろう。
「次は職業を選択してもらいます。自分にあった職業を選んで下さいね」
「本来はステータスをもとに決めるんだけど、今回は上手く測れなかったからなぁ。まあ参考までに言っておくと、アタシが盗賊で、リリーが魔法使いよ」
そうか。パーティーのバランス的には、前衛職を選んだ方がいいんだろうが、どうしようかな。
「迷ってるんでしたら、冒険者という職業もございますよ。強いスキルは覚えませんが、ステータスもまんべんなく伸びますし、初心者の方におすすめの職業ですよ」
「そうですね。職業は後から変更できますし、ここは冒険者を選ぶのがいいかもしれません」
「じゃあそうしておこうかな」
「了解しました。こちらがライセンスになります」
ライセンスには、名前と顔写真、ランクが書いてある。
受け取ったライセンスは青色。
冒険者ランクによって、ライセンスの色も変わるようだ。
「これでいつでもクエストが受けられますよ」
「はい、ありがとうございました」
こうして俺たちはギルドを後にした。
「よしっ、次は装備だね。さっきから気になってたんだけど、アイトのそれってどこで買ったの?あまり見慣れないけど……」
あっ!! すっかり忘れてたけど、俺制服のままだった!!
よく見たら俺結構浮いてる?
なんだか急に恥ずかしくなってきたぞ!!
「えっと、俺の故郷の民族衣装っていうか……まあそんな感じだよ」
「へえ、そうなんだ」
良かった咄嗟にでた言い訳だが、信じてもらえたみたいだ
「なんにしろ装備は必要でしょ? 持ってないみたいだし、買いに行こうよ」
「えーっと、悪いんだが……金を持ってないんだ」
「ええマジ!? なんか持ってるものとかないの?」
「えっと、これだけだ」
唯一なくさなかったスマホをモニカたちに見せた。
「それなんですか? 初めて見ました」
やっぱりこの世界にはスマホなんてないんだろう。
二人の反応を見る限り、電化製品すら初めて見るようだ。
「それ質屋に入れてみたら? 見た感じ金属っぽいし、それなりのお金になるかもよ」
確かにこの世界では使い道もないし、そのほうがいいかもしれないな。
「じゃあこれにします」
「おうっ、毎度」
装備一式と剣を買ったが、まだ結構残ってるな。
お金の価値は日本とほとんど変わらない感じだったから、あと一週間くらいは大丈夫そうだ。
「ねえ、それで良かったの? お金も余ってるみたいだし、もうちょっといいの買っても良かったんじゃない?」
「うん。うまく扱えるかわからないし、取り合えずはこれでいいかなって」
「そうですね。クエストで手に入れた素材を使って強化してもいいですし、他に自分に合った戦い方もあるかもしれませんしね」
「じゃあ早速クエスト受けに行きましょう! 私が選んでくるから、明日の九時にここに集合!遅れないでね!!」
三話でやっと話が進み始めました。自分で言うのもなんですがテンポ悪いですね。