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2話 リヒトとの契約

 「我が名は聖龍リヒト!! 我が貴様をここに呼んだ!!」

 「うわぁ!! ドッドラゴン!?」

 「はっはっは。安心しろ、取って食ったりはせんわい。まあ、驚くのも無理は無いとは思うが」

 リヒトは豪快に笑った。

 「それに、お前がここに呼んだってどういう事だ?」

 「どうもこうも、そのままの意味だ。前の世界で死んじまったお前を、こっちの世界に呼んだのさ」

 「やっぱり死んでたのか……」

 「そんなにがっかりしなくたっていいじゃねえか。せっかく俺様が召喚してやったんだから、もうちょっと嬉しそうにしたらどうだ?」

 死んじゃったってのに嬉しそうになんて出来るか!!

 ……いやまてよ? 

 「なあ、今いる世界はもといた世界とは別の世界ってことだよな?」

 「うん? まあそうなるな」

 きたっ!!

 これって所謂、異世界転生ってやつなんじゃないか!?

 いや、この場合は異世界召喚といったところか。

 「おいお前! 何かすげえ能力とかくれたりするのか?」

 「貴様、この俺様をお前呼ばわりとは、なかなか度胸があるじゃないか」

 リヒトは呆気にとられたような顔で言った。

 「なんだよ、お前そんなに偉いやつなのか?」

 「貴様、どんどん態度がデカくなるな……。まあ良い。分かっているなら話がはやいではないか」

 

 「貴様、我と契約しないか?」

 「……契約?」

 「そうだ。我は貴様に力を与える。貴様は我の封印を解く。どうだ?悪い話ではないだろう」

 「……その前に一つ聞きたいんだが、」

 「何だ。言ってみろ」

 「お前強いのか?」

 「強いに決まっておるだろうが!!」

 「そもそも龍というのは、全種族の中で最も強い。その龍族の中で一番強いのがこの俺、リヒト様なのだぞ!! でなければ貴様をこの世界に呼ぶなど出来んだろう」

 リヒトはひどく腹を立てているようだった。

 まあ確かに、アニメや漫画、ラノベでも次元に干渉出来るのは強キャラって相場が決まっているもんな。

 「なあ、最強なんだったら、なんで封印なんてされちまったんだ?」

 リヒトはとてもばつが悪そうな顔をする。

 もしかして、聞いたらまずかったのか?


 「……あれは違う。正々堂々とした戦いじゃない。本来だったら絶対に負けてなかった。……多分」

 「多分かよ」

 「仕方がないだろう! 天使が出てくるとなると話は別だ」

 

 天使だって!?

 天使がいるんだったら、エルフもケモ耳もいるに決まってるよなあああ!!!

 楽しみだぜ、異世界!!

 

 「なあ、はやく契約しようぜ!!」

 「さっきからコロコロと態度を変えおって。まあこの際気にしない事にするが……」

 「あっ。お前後から契約を無かった事になんてするなよ」

 藍斗は念を押すように言う。


 「当たり前だ。魔物にとっての契約とは、そんなに軽々しいものではない。仮に一方的に契約を反故にしたならば、それなりの代償を払わなければならない。そういうものなのだ」

 「なるほど、安心したぜ」

 「では早速行くとしようか。貴様が手に持っているその瓶の鎖を外せ。今なら封印の効果は無い。ただの鎖と変わらないはずだ」

 鎖は瓶をがんじがらめにしている。

 そんなに開けられたらまずいのだろうか。


 「よっと、出来たぞ」

 

 もっと手こずるかと思っていたが、見た目に反して鎖を外すことは簡単だった。

 

 「よし、中身を出して見ろ」

 

 瓶の中身は鮮やかな深紅の宝石。

 俺は瓶を傾け宝石を手のひらの上に置いた。

  

 ドロッ


 瓶の中に入っていたときは宝石のように見えていたが、手のひらに乗せるとそれは液体へと変化した。

 「なあ、これ何なんだ?」

 リヒトはニヤリと笑って言う。

 「そいつは俺の魔力だ。今から貴様には、それを取り込んでもらう」

 「なるほど、どうやって取り込むんだ?」

 「簡単だ。飲み込むんだよ」

 「ええ……これを?」

 「おい、露骨に嫌な顔するんじゃない」

 「だってこれ、何かキモイんだもん」

 リヒトの魔力は、藍斗の手のひらで液体から個体になったり、ドクドクと脈を打ったり、奇妙な動きを繰り返している。

 

 「これ飲んでも大丈夫なの? なんか腹とか壊さない?」

 「フンッ、それは貴様次第だ。失敗したら最悪の場合死に至るが、見事適合すれば圧倒的な力を得る。さあ、早く飲め。適合して見せろ!!」


 ええ……失敗したら死ぬのか、嫌なこと聞いちゃったな。

 でも飲まないと力は手に入らないという事か。

 確かに圧倒的な力には代償が付き物だ。

 どうせ一回死んでるんだ、二回も三回も変わらねえ!


 ええい、ままよ!!


 ゴクッ、ゴクッ


 うっ、なんだこれ

 熱い。熱い。

 身体中が焼かれるように熱い。

 心臓が耳から飛び出しそうなくらいに鳴っている。


 「うっ、あがっ、うわああああああああ」


 「ほう、成功だ。気分はどうだ?」

 「最悪だよ」

 幼少期、親の酒を隠れて飲んだ後の気持ち悪さを数十倍に濃くしたような感覚だ。


 「これで力が手に入ったのか?」

 「ああそのはずだ。魔力を目に集中させてみろ。身体中のエネルギーを血管を伝って目に集めるイメージだ」

 血管を伝って……エネルギーを……こうか?

 

 「うわっ、なんだこれ」


  名前:聖龍リヒト

  種族:ドラゴン

 ランク:S+

  属性:光

 スキル:聖龍

  耐性:全属性耐性、斬撃耐性、打撃耐性、魔法耐性、状態異常無効、再生


 「ほう、なかなか筋がいいじゃないか」

  

 これは見たところリヒトのステータスか?

 仮にそうだとしたらこいつって滅茶苦茶強いんじゃ……

 

「次は貴様の番だ。今から貴様を始まりの地へと送る。お前はそこで各地の神殿に赴き、我の封印を解くのだ」


 「おう。バッチリ了解だ」

 「準備はいいようだな」


 「フンッ!!」

 リヒトが空を爪で切り裂くと空間が歪み、穴が開いた。

 「この穴に入れば始まりの地に着く」

 「ああっ、しっかり封印解いてやるからな!」

 

 藍斗はリヒトにそう言うと、歪みに飛び込んだ。


 「よっしゃ行くぜ! レッツ異世界!!」

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