ショートストーリー ぶさいくな女と結婚したわけ
人間には持って生まれた才能って言うものがある。
例えば絵がうまいとか、クラッシックが好きだとかサッカーが上手とか。
凡人にはいくら努力しても出来ない才能というのがあるのだ。
才能のない人はただただ平凡な仕事に就き日々のらりくらりと過ごすしかない。
明子の夫は字も下手だし絵心もゼロである。
スポーツに才能がある訳じゃなし、歌も下手である。
そんな夫を明子は「形オンチ」とさげすんでいた。
ただ正直なだけで善良な一市民だとことだけはわかる。
先日その夫に買い物を頼んだ。
丁度リビングの照明器具が切れたので、新しいのを買ってきてくれるように頼んだ。
すると夫はメチャクチャセンスの悪い照明器具を買ってきた。
明子は何の才能もない夫に頼んだ自分が悪いと諦めていたがそれでもついつい愚痴がでた。
「お父さんて形オンチね」
ぶさいくな照明器具を見ながら呆れてかえっていた。
すると夫は反論してきた。
「ぼくが形オンチでなかったらあんたとは結婚していません」
だって。
その言葉を聞いて明子はぐうの音も出ませんでした。