〜気づけばオムライスのことばかり語っていた私です〜
「あちゃー、やってしまったなぁ。」
ご飯。白米。ライス。飯。
日本人が愛する日本の宝。米。
八十八の神様がなんちゃらこんちゃららだから米という漢字になったらしい米。
温かくて、どんなおかずにでも割とよく合う美味しい美味しい食べ物(主食)である。
でも、そんな美味しい美味しいお米を食べるには、まずはお米を炊かなくてはいけないわけで。
この物語は0,5合でご飯を炊こうとしたのに、間違えて1合の水を入れた星宮スイの部屋から始まるーー…。
「ベチョベチョだぁ…。」
皆さんこんにちは!
なんて、独り言なんだけれど。
ツイてない私の独り言。
誰か私の脳内の独り言が聞ける人がいるなら聞いて欲しい…。
さて、皆さんはオムライスはお好きですか?
私は割と好きです。
ケチャプライスなだけでも割と好きなのですが、オムライスという卵を身にまとった形になるとより嬉しい。子供の頃の純粋な気持ちになれます。
まだ16歳だから子供かもしれないけれど。
そして、そんなスイちゃん。(私)
今日はオムライスにしようと朝からずっと決めておりました。昼のバイト中には、卵になんてお絵描きしようかなぁ。…なんて考えて空を眺めていたほどです。
しかし、
「やってしまった。」
オムライスはベーコン、玉ねぎ、ピーマンなどの具も入れるし…とお米を少なくしたものの、お水は無意識にいつも通りの1合分、投入してしまったみたいでこの有様です。
ベチョベチョのお米が入った炊飯器を眺める女、それが今の私なのです。
本当にツイてない。
「……ベチョベチョすぎる…。」
これじゃ、オムライスには出来なさそうです。
「これはお粥とかにするしか…。
………。
………。」
私は分かっていました。
このご飯をどうすれば美味しく食べられるか。お粥です。これにもう少しお水を入れて混ぜた卵なんかも足したらきっとそれはそれは美味しく頂けるでしょう。
しかし、今日の私は
「お、オムライスが食べたい。」
オムライス欲が抑えきれませんでした。
もう口がそういう気分だったのです。
「……。コンビニに行くかなぁ。」
最終手段、決行を決意しました。
そして、思い立ったらすぐ行動。これが私です。炊飯器からおかまを取り出し、ラップをしたら、冷蔵庫にいれて、私はコンビニに行く準備を始めました。
1番近くのコンビニでも歩いて10分。
一応私も年頃の女の子、なのでこの【社会は全てブラックだ】Tシャツの部屋着で行くのもどうかと思いまして。
だから着替えようと思ったのですが、これが夏休みマジックというもので、普段なら絶対に着替えるのに、今日はもう部屋着のままで行くことを簡単に決意してしまいました。
さて、財布も持ちました。
ではでは行こうかな。
冷蔵庫に入れたごはんは明日の朝にお粥にしよう。
明日の朝ごはんにお粥をつくるときにはもう美味しくなくなってるかもよ…なんてもう1人の自分が囁いている気もするけれど、仕方ないの。もう口はオムライスの気分なのですから。
私は財布、スマホを持って玄関に向かいます。向かうと言っても数歩ですが。
玄関につけば靴が。
靴はスニーカーやらローファーやらが並べられています。
いつもなら割と可愛いサンダルをセレクトしたでしょうが、もう部屋着で出かける決意もしてしまったのですから、今さら靴だけ頑張っても無意味でしょう。ビーサンで。
私は玄関に並ぶ靴の中からビーサンを選んで履きました。家用に購入した100円のビーサン。割と履きやすく長持ちしています。
もう夜だと言っても、8月半ばは夜でも暑いですね。暑いのです。だから靴下なんて履いていられません。
出来ればコンビニに行く往復20分も遠慮したいところです。
私はこうやって、行動しつつも自分の心の中でひたすら喋っている人間なんですが、そのせいでもう行動に移しているのにいろいろ考えてめんどくさくなってしまう時があります。
今とか。本当そうです。
そんな風にいろいろとめんどくさいなぁと思う時、私はふと思うのです。
【魔法】が使えたらなぁと。
16歳だけれど、夢みちゃいます。
さて、こんなコンビニに行くことが面倒くさくなったときに使える魔法はなんでしょうか。例えばほうきでひとっ飛び〜とか、瞬間移動とかでしょうか。
本当に出来たら便利ですよね。
想像しただけで羨ましい。
最近見た魔女っ子もののアニメがきっかけでそんなことを考えるようになりましたが、想像しただけで楽しいし羨ましいです。
魔女っ子って多分子供の憧れなのかもしれないけれど、子供の頃の私も憧れていたのかもしれないけれど、子供の頃の記憶のない私は今更魔女っ子アニメを見てハマってしまいました。
ココ最近は、ちょっと不便なこととかあると【魔法】が使えたならばこの場面ではどんな魔法を使おう?と考えてしまう有様です。
でも、確かに瞬間移動やほうきでひとっ飛び〜も憧れますが、やっぱり私が1番憧れるのは
【時間を操れる魔法】ですね。
«カチッ»
最強無敵じゃないですか?
どんな時にも使える魔法。チート技です。
なーんて、魔法が使えるなんてこと自体そもそも有り得ないので、所詮は16歳のただのじゃれごとなんですけれどね。
私はそんなことを考えていましたが、やっとビーサンを履いて玄関の鍵を開けました。
ボーン、ボーン
すると、何処からか音が。
何だろう、音のタイプ的には除夜の鐘のような音と響き…?
ううん。
これはどちらかというと時計の振り子の音…?
時計の振り子の音。
なぜだかとても懐かしく感じ。
しかし、なんでそんな音が聞こえるのでしょうか?なんかお祭りみたいなのありましたっけ。
私は音に釣られて玄関を開けました。
夏は暑いですね。
だから普段なら玄関を開ける時、外のムワッとした暑さが流れ込んでくるのです
が、
「えっ。」
今日は冷たい空気とともに、私の目の前に現れたのは、いつものアパートの廊下ではなく、ロンドン?みたいに大きな時計塔があるオシャレな外国の街のような場所だったのです。
そして、ここで悲報です。
時計塔があると言いましたが、その時計塔の時計の部分が私がドアを開けた時、真正面にありました。そして、下にはきらびやかでオシャレな街。
そして、玄関のドアを開けてすぐに踏み出してしまった1歩。
もう言いたいことがわかった人もいるのではないでしょうか。
ドアを開けるとともに1歩を踏み出していた私は…
「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ?!」
下に急降下して行ったのです。
可笑しいではありませんか。
いつもはそこに廊下があるのです。
それが何も無いなんて。
そもそもこの理論でいくとドア自体も宙に浮いていたということになります。
なーんて考えても急降下は止められません。
無意識に涙も出てきてしまったようで、私が急降下するのとは逆に涙は上にふわふわと上へ飛んでいきます。
わたしこのままじゃ、突然来たなぞのオシャレな街から落ちてきたやばいやつとして終わってしまうのでしょうか…。
こわいこわいむりむりむり。
落ちる瞬間って一瞬のはずなのに、落ちている本人には一瞬ではなく、いろいろ考えられるほど長い時間に感じる…。というのをいつかどこかで、ここ数年で読んだか聞いたかしたけれど、これって本当だったんだすね。
しかもオシャレな街でこの部屋着にビーサン……。
あああああああ、オシャレしてくれば良かった。せめていつもコンビニに行くくらいの服…、ワンピースとかにすれば良かった。
ああ、こんなとき【魔法】が使えたらなぁ。
私は突然訪れる死の間際にまたそんなことを思っていた。
魔法、魔法、魔法。
むしろ死の間際だからこその現実逃避だったのかもしれない。
空飛ぶ魔法や瞬間移動できる魔法があればこの状況は回避出来たなぁ…。
ああ、もうダメだ。
でもまぁ、働かずに生きるって夢はある意味達成されたし、社会という闇に出る前に消えれて良かったのかもしれない…。
なんてポジティブに考える私。
でも…
でも最期にオムライスが食べれなかったことだけが後悔…
私はそんなことを考えながら目を閉じた。
もう怖くてどうしようもなくて、目を閉じることしか出来なかったのです。
色々と覚悟をした
次の瞬間。
トンっ
という音と共に、温かい何かに背中を抱かれました。
正確にいうとお姫様だっこみたいな形ですかね。
そのときの人の温もりによって、私は助かったんだと目を開く前から分かって、これまた泣きそうになります。
やはり当たり前だけれど怖かったのです。恐怖!
そしてそのとき、頭の中からなんか声が聞こえたのでした。助かったからきっと走馬灯ではないのでしょうが。
「私、███ちゃんの███大好…きだよ。
だから…ずっと███てね。」
頭の中の声は聞き取りづらくて、何を言ってるのかあまりよく分かりません。
むしろ大事なところ全部聞き取れてないですよね。なんとかちゃんが大好きって誰かが言ってることしか分からないので、つまり何もわからないってことではないでしょうか。
「大丈夫か!?」
「はっ!」
ここでようやく意識が戻ってきました。
声に驚いて目もバッと開きます。
目が開けたとき、私の目の前にいたのは女の子でした。
黒髪が綺麗なショートカットの女の子。
頭には大きな魔女の被ってる帽子。
あれってなんていうのかな。
例えるならば3角コーンなんだけど、いろいろな人から怒られそう。
次までに調べておきたいと思います…。
次があればですけれど。
そして1番驚いたのは彼女は私をお姫様抱っこした状態で空を飛んでいたことです。飛行。Fly。
「いやー、危なかったなぁ。
久しぶりにみたよ、あんな所からワープしちゃう子。」
「え、あっ、え?」
「あははは、そうだよな。
何が何だかだよな。
僕の名前はツバサ。
いまこの状況というか、状態?についてはこれから話すな。
とりあえず、降りようか。」
「え、あ、は…ぃ」
周りの景色が徐々に徐々に下がっていく。
というか私たちが下がっているんでしょうけれど。
確かに何が何だかって感じなのはその通りなんですが、とりあえず今私が思ってることを率直にいうとツバサさんの女の子なのに、少年感あるボーイッシュな感じが私のめちゃくちゃ好みだということです。
ボクっ娘でしょうか。すき。
そして景色はどんどんと下がっていき、とうとう私とツバサさんは下まで降りてきました。ツバサさんの顔をみていたら一瞬で降りてきてしまった。もう少しみていても良かったのに…なんて思ってしまう私はさっきまで生きるか死ぬかの恐ろしい出来事を体験していた人とは思えないですね。自分自身でも。
「はい、着いたよ。
大丈夫、立てる?」
「あ、はい。大丈夫です!」
見つめていたら目が合った。 Byスイ
バレちゃったかな。見つめていたこと。
私は慌てて、ツバサさんのお姫様だっこと、ほうきを降りました。
当たり前のことですが、足が地面に着きます。ふう、なんだか地面が懐かしい…。
と、いうか恋しいです。
多分時間にしちゃえば5分くらいの出来事で、5分だけ地面から離れていただけなのに。
「…ぷっ!アハハハハ!」
「えっ。」
地面に安堵していたら、突然後ろでツバサさんが笑いだしました。
おぉ、笑った顔も爽やか。素敵。
しかし、私の何が面白かったというのでしょうか。
「アハハ、ごめんごめん。
他の女の子が空からワープしてきたは普通なら地上についた瞬間腰抜かしたり、震えてたりするんだけど、キミはむしろなんかホワホワしててびっくりして笑っちゃった。」
「え、あっ。そうですか…?」
ホワホワ…?してたでしょうか。
自分ではよく分かりません。
「でもそれくらい元気なら安心だ。
キミにはこれからこの世界のことをいろいろと説明しなきゃいけないからね。
と、あ、きたきた!」
ツバサさんが何かに気づいて手を振っています。上でぶんぶんと。
さっきまでのボーイッシュな印象とは少し変わり、子供らしい可愛い感じがします。
……ぎゃ、ギャップ萌え…!!
「恋羽〜!!」
「……ツバサ、遠くまで飛びすぎ…。
私…、走るの苦手…。」
「アハハ、ごめんな。」
ちょこん。
本当にちょこんでした。
ツバサさんに近づいてきた、ツバサさんが手を振ったであろう少女は、ちょこんと可愛らしい少女でした。
下の方でツインテールをしている黒髪の女の子。そして頭には3角コーン。(嘘です。怒らないでください。)洋服はふわっとラフなワンピース。
…いかにも魔女っ子ぽい格好…。
しかし、そんなことよりツバサさんと恋羽さんと呼ばれるお二人。
身長差や性格、ぽわぽわした雰囲気。
これは萌える…。
そろそろお気づきの人もいるかもしれませんが、私はこの1年半、ひたすらアニメを見て、アニメオタクそして百合大好き人間になってしまいました。
普段は3次元でこんな妄想しないのに…。
これがこの世界でのマジック!?
「……この子、変。」
「こ、コラ!恋羽!」
はァァ、かわいいかわいい。
2人のそんな関係性まで可愛い。
「ご、ごめんね。
えと、この子は恋羽。
ちょっと正直者というか素直なんだけど悪い子ではないんだよ?」
「……むぅ。余計なお世話。
私はツバサが恋羽を知ってればそれでいい。」
「っ!!!!」
うーーーーーーーわーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!
これ、ガチなやつでは?
最高じゃない…。美形ボーイッシュとロリっぽい美少女…。
創作意欲を掻き立てられます。
創作物は描いたこともありませんし、文章力も画力もないので私にはどうにもできませんが。
尊い…!
私は2人尊さに思わずに手を合わせました。
「つ、ツバサ。
やっぱりこの子変…!」
「どうどう、恋羽落ち着いて!
なんかこの子は凄い世界観持ってる子なんだよ…。
えっと、あの、あーー、
名前聞かないと話しづらいな。
キミの名前教えてもらっていいかな。」
「え…、あ、はい。」
話をかけられて現実に戻ってくる。
危ない危ない。オタク特有の別世界に行ってしまう現象が…。
これってオタク特有だと思っているのですが、私だけなのでしょうか。
「私の名前は星宮スイです。」
「スイちゃんね。
改めてボクはツバサ。
空見ツバサ。よろしく。
そして、こっちはボクの相棒の明道恋羽。」
「……ろ…しく。」
「ちょっと人見知りだけど、可愛いやつだからよろしくね。」
「は、はい。」
相棒ですって。ふふふ、素敵ですね。
「で、スイちゃん。
キミがこの世界に来たからには、ボクらは今からキミをこの世界の女王様に会わせないといけないんだよね。」
「えっ。」
突然の急展開です。
最初で白米とオムライスについて長文かいていたとは思えません。
「じょじょじょ、女王様って…。
私なにか悪いことをしたのでしょうか?
ここに来たのもオムライス食べたいなーとか思いながらドアを開けたらオムライス神か何かのパワーでなんかどーんと来てしまっただけで…!」
「ああああ、そんな焦らないで!
ボクの説明の仕方が悪かったね…。
恋羽、助けて…。」
「…ツバサは説明が下手。
星宮スイ、落ち着いて。
女王と会うのは悪いことをしたからじゃない。この世界に来た理由やこの世界のことを説明するために女王のところに行く。」
「……説明…?」
「そう、この世界は魔女の素質がある人しか入れない。だから説明と素質がどれくらいあるか確認。」
「そうそうそういうこと!
それが僕達に与えられた【仕事】なのさ!
じゃあ急で悪いけど、今から行こうか。
女王様のところへ。」
「えっ、そんなアポなしで行って大丈夫なんですか?女王様なんですよね?」
「大丈夫!大丈夫!
うちの女王様はそんな堅物な人じゃないから。」
…堅物な人じゃなければ大丈夫ということなのでしょうか。
私が言いたいのはそういうことではなかったのですが。
そういうと、ツバサさんは頭の3角コーンを取って
「じゃあ、行こうか。」
と言います。
?
どうやって行くのでしょう。
またもやほうき?
なんて思っていると、ツバサさんは洋服の横ポケットの中からオレンジ色の丸いキャンディのようなものを3角コーンに入れました。
すると3角コーンがオレンジ色に光りだしました。さながらペンライト。
「女王様のところへ。」
そして、ツバサさんがそういうとわたしたちの周りの空間が歪み始めて、わたしたちは光る帽子…、あ、3角コーンの中に吸い込まれたのです。
これがこの世界の移動方法なのでしょうか。
全く可愛らしくないですね。
もしこの世界が魔女っ子の世界ならぜひともこの魔法の使い方を変えていただきたいと言いたいです。
3角コーンの中はどんな感じかというと、これが一瞬すぎて分かりませんでした。
もし私の心の声が聞こえて楽しんでいる人が現在系でいるとしたらごめんさい。
レポートできませんで。
そして、気がついたら私…、わたしたちはピンク色の部屋に居ました。
ピンク色でとっても広い部屋。
とっても広い部屋なのにそこには座り心地の良さそうな椅子が1個置いてあるだけ。
そしてそこに
「あらあら、新人さんね。
よう来て下さりました。」
5歳くらいのロリがちょこんと座っていたのです。
まさか、この人が…?
「うちの女王様だ。」
「はじめましてー、女王のミミと申します〜」
うっっっそ。
ロリが天下のこの世界。
こここそが私の楽園かもしれない。
そう思う私なのでした。
次回につづ…くかもしれません。
星宮スイ。