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「何故こうなった!? 何が起きている!」

「民衆が攻めてきてございます」

「そんなことは分かっておる。それなのにどうして騎士達は動かぬのだ」

「騎士・兵士の中で分裂、戦闘が始まっております」

「……つまり、ここにおる近衛以外は役に立たんと言うことか……」


 国王が使う執務室。

 王様って常に玉座に座っているような印象があるけれど、国王にも仕事はあり、その仕事を玉座でこなすというのは無理なので、実際玉座に座っている時間というのは長くない。


 というか、謁見があるときだけらしい。

 ゲームの王様は常に玉座に座っていたけれど、仕事していたのだろうか? ゲームの話をすると、宿屋・道具屋・武器屋くらいしか働いていない気もするけれど。


 城内は大混乱。

 武器を持つ民衆がやってくる前に逃げ出そうとする者、民衆ごときがと戦いに赴こうとする者。

 身を潜める者、ただただわめき散らす者。


 この混乱の最大の原因は、自分たちを守る騎士達が機能不全になっていることだろう。


 そんな中王族は、それぞれ対応に追われている。

 国王は全体の指揮を執らなければいけないし、その子供達は各方面に行ってそれぞれの指揮を執る。

 このあたりやはり優秀なのだと思う。


 だけれど、指揮をして動かす中に裏切り者がいるのだから、救われない。

 実は既に捕らえられた者もいる。確か第三王子だっただろうか?

 心優しくて云々な王子様だったらしい。


 僕はあったことがないからあれだけど。


 その情報すらここに届かないと言うのは、それだけ混乱しているという事だろう。

 大臣だか、宰相だか、なんだか見たことあるような顔の人とのやりとりを終え、近衛騎士数人を除いて誰もいなくなったところで、国王がぼやき始めた。


「何がどうなっている? 直前までそんな兆候はなかったはずだ。

 何かがあるとしても、まだ不満が爆発するような状況ではない……。

 あやつが裏で何かしでかしたのか? いや、確かに見張っておった。何か怪しい動きをしたということはないはずだ……」

「あやつっていうのは、アルクスの父親で合ってます?」

「アルクスだと? ……ああ、そうだ。アヴァリティアの奴だ。

 ……何奴!? 騎士よ」


 アルクスの家はアヴァリティアというらしい。なんだかちょっとカッコいい。正直ツボだ。

 そんなことを考えている場合ではないのだけれど。


 僕に気が付いた近衛騎士達が首に剣を添えているし、その気になれば切り落とすつもりなのだろう。


「何者だ? アヴァリティアの手の者か?」

「今知った人の下から来るのは無理がないですか?」

「では何者だ? 何が目的だ? 話さねば首をたたき落とすぞ?」

「答えたところで、首落とそうとするくせに何を言っているんですか」


 こんな不敬者殺す以外ないと思うのだけれど。

 何せ王のいる間に土足で踏み込んできたのだから。

 情報を話したら、即殺される。僕の侵入に気が付いた人もいないだろうしなおさらだ。


 だってこの国の王様はうそつきだから。僕はその辺詳しいんだ!


「そうだな。だが、楽に死にたかろう?」

「死ぬのは勘弁ですね。何をしにきたかと言えば、見学でしょうか?

 誰かに頼まれたわけではありません」

「そのような冗談が通じるとでも思うてか!」


 国王が激高する。そりゃあ、おちょくられているようにしか聞こえないだろうしね。

 割と本気で言っているのだけれど。


 とりあえず、首もとの剣がじゃまなので、手で摘んでコツンと剣身を拳で叩いて折る。

 5本くらい剣があったけれど、とりあえず1本折ればいいだろう。

 剣を折られた騎士は目を丸くしている。国王も鋭い視線をこちらに向けてきた。


「では交渉と行きましょう。わたしはこの反乱を特等席から見たいだけです。ここに居させてもらいますが、その代わり貴方達を害することもありません。

 ですが抵抗するならこちらも反撃をさせてもらいます。具体的にはとりあえず、武器を破壊させてもらいましょう。それでもダメなら、殺すしかありません。

 どうしますか? 今ここで戦いますか? それとも反乱軍がやってきたときのために戦力を温存しておきますか? やっぱり逃げますか?」


 最後に煽るように言うと、国王は「邪魔をするでないぞ」とぶっきらぼうに返してきた。

 それから騎士達に目配せをすると、騎士達が渋々剣を引き下げる。


 うんうん。良かった。これでも戦いを挑んでくるなら、見せしめに一人殺さないと行けないところだった。

 それは民衆の役目だろうし、僕は見学に徹するよ。


 それにしてもこの状況でも国王逃げないんだなー。

 根性があるというか、王族としての自覚があるというか。

 近衛達は「魅了」されている様子はないし、フラーウスはここが最終決戦の場になるだろう。


 この戦いは本来、トパーシオン王女と女木達との戦いだったはずだけれど。どちらもこの場には居ないし、戦うのは国王とアヴァリティア当主WITH民衆になると思うけど。


 国王のところにやってきたのは良いけれど、人々が来るまでにもう少し時間がかかりそうだ。それまで、国王と話でもしていようかな?

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本作が「第一回スターダストノベル大賞」で優秀賞を受賞し電子書籍化が決定しました。
最終第5巻が2023年9月7日より配信開始です。
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