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第一話

そこに広がっているのは、ただただ無限に広がる闇、闇、闇… 


俺は、よく夢を見る。 好きな人に告白するもの、怖い人に追いかけられるもの、その数は数え切れない。 そのせいか、俺は夢の中でふと 「あ。これ夢か…」 と直感で理解してしまう時がある。 そのため、目の前に山ほどお金があっても、自分が他の人より運動神経が優れていても何も望まないようになってしまった。 そのため、自分がもし夢の中で意識を覚醒させてしまった時は大抵すぐに起きる努力をしている。


そのため、今回も体のスイッチをオンにするべく夢から強制的に体を醒まさせた。


「……? 」


おかしい。 目が開かない。 それどころか声すらでなくなってしまった。 それに、体のいたるところに力が入らなくなってしまっているのを感じた。 声をだそうにも喉に何かがつっかえているかのように声がそこで止まってしまう。


「……! …!」


文字通り声にならない叫びを心の中で叫んだ。 すると、誰にも聞こえていないはずのこの叫びが体に小さな変化を及ぼした。 視界に、わずかではあるが光りが宿ったのだ。 すると、徐々に聴覚も感覚を取り戻してきているのを感じた。


自分の中に入ってくるわずかな騒音、そして目の前に映る人の姿が全てを映し出していた。


このポンコツの耳で聞き取れるのは、周りの異様な雰囲気だけ。 この、節穴の目に映るのは綺麗なホワイトに染まった揺れる髪の毛だけだった。 


あぁ、きっと僕はここで死ぬんだろうな… いつもとは大きく異なる自分の体の反応に死を覚悟せざるをえなかった。 すると、たくさんのことが頭に浮かぶのを感じた。 ショートの髪の女の子が笑顔でこちらに笑いかけている姿、整った綺麗な横顔と共に月を眺めている姿… たくさんの自分の姿が走馬灯となり頭に浮かび、それはシャボン玉のように僕の体からフワフワと出て行った。 あの、僕の大切な記憶の詰まったシャボン玉もいつか割れるのだと思うと、どうしてもやるせない気持ちなる。 


そして、気が付くと僕の体内のものは全て出し尽くしたらしかった。 そして、再び意識を失い始め、僕はもう一度意識が覚醒するのを待っていることを選んだ…

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