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4話
特に気にした様子もなく、真壁は笑みを浮かべたまま冬四郎を見ていた。
「いくら警察でも今からする事の邪魔をしないで貰いたいですな」
「何をするつもりだ?」
「寺井君とこの子には、栄養になって貰うのですよ…この子達のね」
「何を言ってるんだ?」
冬四郎も颯介も構うことなく、真壁に近づいていく。真壁も逃げようとしない。
手を伸ばせば真壁に届く距離まで来た。
すると真壁は、ズボンの後ろに手をやった。取り出したのは、鉈だ。
その鉈の刃を撫でながら、真壁はむつとその近くに横たわっている佳澄に視線を向けた。
「血がね、必要なんですよ」