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4話
「分かんないっす、けど…光がっ、見えるんです」
「光?宮前さん見えます?」
「いや、まったく。何も見えませんが」
ばしゃばしゃと雨水を蹴散らし、走っていく。野外ステージを通りすぎると、急に山の中に入ったような雰囲気がした。
冬四郎と颯介は、立ち止まり少し遅れた ぎみの祐斗を待った。祐斗が、ぜぇぜぇと息を切らせているにも関わらず、二人の息は全く乱れてなかった。
完全な真っ暗闇で足場が悪い。ぬかるんでいる所もあるようで、三人は走るのをやめ、歩いていく。
「だんだん、光が強くなってく」
颯介の襟元から顔をのぞかせている管狐も、気になる物でもあるのか、しきりに鼻を動かしてきょろきょろしている。
少し歩くと開けた場所に出た。
丸い池があり、ちょっとしたキャンプでも出来そうな所だった。