90/121
4話
最早、足音を気にしている余裕もないのか、バタバタと階段を駆けおりる。大人の男、三人の足音が響いているにも関わらず明かりのついてる部屋から顔をのぞかせる者はなく、気味が悪かった。
雨で水の溜まったコンクリートを、ばしゃばしゃと音を立てて走る。
祐斗を先頭に、冬四郎と颯介も続く。
冬四郎には、祐斗の向かおうとしている先が分かったようで、スピードを上げて祐斗に並んで走った。
「野外ステージか?」
「その奥、レクリエーション部が使う広場が、あるんです、たぶん、そこら辺」
息が上がりつつあるのか、祐斗はつっかえながら何とか話した。
「その奥に何があるんだい?」
冬四郎も颯介も息が上がってる様子はない。祐斗は、自分の体力の無さに少しだけ恥ずかしくなった。