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4話
三人は広くもない室内を見回し、備え付けのロッカーなどを開けてみたが、むつも佳澄も居ない。だが、佳澄のとおぼしき鞄が見付かった。
「決まりですね」
「けど、何処に行ったんだ?」
何か手掛かりになるような物はないかと、デスクや引き出しを開けていく颯介と冬四郎。だが、他には何も見付ける事が出来なかった。
「泊まり込みなら、学内には居るはずだ。探してみよう」
そう言い出た所で、祐斗が立ち止まった。土砂降りの外を見ている。目が離せないかのように、何かを視ていた。
「あそこ…あそこですよ‼さっきも光ってるのが見えたけど、あれだ」
冬四郎と颯介も目を凝らしたが、何も見えなかった。暗いうえに土砂降りの雨で、見える物など何もない。
「むつさん」
祐斗は走り出した。