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4話
「何だ…この部屋は」
冬四郎と祐斗も颯介に続いて入室し、絶句した。室内には、至るところに紫陽花が、それもやけに赤い紫陽花だった。
「これ、凄く嫌な感じがしますよ。何て言うか寒気がする感じですね」
「紫陽花からか?」
花瓶に活けてあった紫陽花を冬四郎が取り、匂いを嗅いだりしている。
「普通の紫陽花に見えるけど…」
「ちょっと違いますね…むつさんが言ってたのはこれだったんですね。あんまり触らない方がいいですよ、何があるか分からないですし」
祐斗がそう言うと、冬四郎は紫陽花を投げ捨て奥の方に入っていく。そして、床に投げ出されていたショルダーバッグを拾い上げた。
「むっちゃんのですね」
「やっぱり、真壁先生が?」