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4話
足音を立てないように三人はゆっくりと階段を上がっていく。人が居るはずなのに、やけに静かだった。
管狐は、1番奥の部屋の前に居た。少しだけ開いたドアの隙間から明かりが漏れていた。部屋には誰も居ないのかもしれないが、入るのは躊躇われた。
颯介は管狐を抱き上げようとしたが、その手を逃れて研究室に入っていった。
冬四郎は、隙間から室内をのぞきこんでいるが、何も見えないようだ。
しばらくすると、ずっずっと何かを引きずるような音が聞こえてきた。出てきたのは管狐で、携帯を押していた。
「むっちゃんのだ」
颯介はそれを拾い上げ、冬四郎と祐斗に見せた。二人とも黙って頷いた。
音を立てないようにドアを少しずつ開け颯介が、室内を見回した。そして、完全にドアを明けると中に入った。