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4話
祐斗の案内で学生用の駐輪場に行き、そこからロッカー棟の裏とフェンスの間を横向きに無理矢理入っていく。
「抜けがあるんだな」
「そうなんですよね。こんな所、なかなか入って行きたくないですが」
祐斗の言う通りだった。草木が繁っているし狭いしで、なかなか簡単には通り抜ける事が出来ない。
ようやく抜け出ると、颯介は管狐を探すようにきょろきょろと見回した。
「どっちですか?」
「向こう、教授棟です」
教授棟の入り口は、泊まり込みが居るからか鍵は閉まっていなかった。
廊下に水滴が落ちるのも気にせず、三人は入っていった。有り難い事に誰ともすれ違う事はなかった。