85/121
4話
大学が見えてくると、後部座席から祐斗が身を乗り出して何かを指差した。
「光ってる」
「え?」
「何か光ってるんですって」
「火事か、何かか?」
祐斗の見えている光を、冬四郎も颯介も確認する事は出来なかった。
車を停め降りると、颯介は管狐を下におろし、人形を見付けた所に向かうように言った。すると、鼻をピクピク動かし大学の方に向かって走り出した。
三人もそれを追って走り出した。
正門の隙間を管狐は、するっとくぐって入って行ってしまった。
「やっぱり、中なんですよ‼宮前さん‼」
「…正面には警備室がある、それ以外で入り込める所は?」
雨に濡れて邪魔になってきた前髪を冬四郎は、かき上げながら溜め息を吐いた。
「これで、むつ達が見付からなかったら…俺はヤバい事になるな」
「大丈夫ですよ」
颯介は笑顔だった。だが目は笑っていない、どこか小バカにした様な楽しんでいる様な目だった。