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4話
颯介の言った通り、管狐が強い雨足をものともせずに走ってくる。そして、びっしょり濡れているにも関わらず颯介の足を上りするすると肩までやってきた。
口には何かをくわえていた。
「これは?」
ずぶ濡れになり張り付き、くったりとして所々千切れてはいるが、むつの人形のように見える。
「むつさんを見付けたんですか?」
「それか、どこかでこれだけ見付けて来たのかも知れないね…と、これは?」
もう1つ管狐が持ってきた物があった。四角いような形の赤い物。
「宮前さん、管狐の後を追ってみますか?で、学校内に入るようなら…」
警官として不法侵入を許すわけにはいかないが、とにかく後を追って何か手掛かりが見付かればと願っているようだ。
「とにかく、大学まで戻りましょうよ」
そう決めると三人は車に乗り込んだ。今度は運転席に冬四郎が座りハンドルを握っている。