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4話
立ち読みにも飽きたのか祐斗が買い物を済ませて出てきた。
「雨やまないですね…梅雨が明けたら海行ってバーベキューとかしたいですね、ねぇ宮前さんも一緒に」
「え?あぁ…そうだね」
話を振られるとは思ってなかった冬四郎は、驚いたように微笑んだ。そして、そっと祐斗の頭を撫でた。子供扱いをされてると思ったのか、祐斗は恥ずかしそうに身をよじった。
「梅雨明けるとむっちゃんは元気なくなるけどね」
「え?そうなんですか?」
「あぁ、そうですね」
冬四郎と颯介は顔を見合わせて笑った。
「暑いの苦手なんだよ、髪の毛で頭が蒸れるのも日焼けも嫌なんだよ」
颯介は今の時期でも、むつが扇風機の前で髪の毛をなびかせて涼んでる姿を思い出していた。
「あー髪の毛切っちゃえば良いのに。昔から長いんですか?」
冬四郎は考え込んでいた。一緒に過ごしていたのは、もぅだいぶ前の事になっていた。その頃のむつは、まだ口数の少ない暗いような子だった気がした。
「昔は男の子みたいに短かったな。俺が知ってるのは中学生の頃までだけど」
懐かしさに自然と笑みがこぼれた。