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4話
先に店内から出てきた颯介が、タバコを吸う冬四郎を見て意外そうにしていた。そして、缶コーヒーを手渡した。
「頂いて良いんですか?」
「えぇ、どうぞ。むっちゃんを貰えるなら安いもんですよ」
意地悪そうに、くっくっくと颯介が笑うと冬四郎もこれ見よがしにしかめっ面を浮かべ、灰皿にタバコを投げた。
「いただきます」
プルタブを開け、コーヒーを飲みながら冬四郎はまた新たにタバコをくわえた。
「…湯野さんは意外と性格悪かったんですね。実際は?」
「何がです?」
「実際はむつをどう思ってるのかと思いまして」
タバコの煙を深くゆっくり吸い込み、真っ暗な空に向かって吐き出す。
「宮前さんと大差ないですよ。可愛いらしいと思いますし…まぁそうですね。ある意味、目を離せませんね。危なっかしいと言うか」
冬四郎は何も言わずに何度となく、うんうんと頷いていた。