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4話
雨足の強くなってきた外を冬四郎は見た。外をのごきこむも、むつの姿はそこには無い。
「管狐は…」
冬四郎の呟くような声が颯介は聞こえたのか、冬四郎の隣に並ぶと同じように外を見た。
「管狐は、飼い主の望む物を取ってくる、だから…裕福になれる」
「言い伝えですよ」
「むつを望む事は出来ますか?」
颯介は、冬四郎の真っ直ぐな視線をしっかりと受け止めていた。
冬四郎は、頭をがしがしとかきながら長い溜め息を吐いた。
「こんな事、本当に言いたくは有りませんでしたよ、けど…他にどうしたら良いのか」
「確かに望めば、この子はむっちゃんを手に入れようとしますよ。宮前さん、貴方を殺してでもね」