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4話
上まで行き、降りながら声をかける事になり最上階の4階まで上がった。相変わらず祐斗は、警備員と共に教授室をのぞいたりして話をしている。
冬四郎と颯介は廊下の端、階段の前でその様子を眺めていた。
「どうするかな…」
他の人が居ないのを良い事に、管狐が颯介の襟元から顔を出していた。興味のわく事がないのか、じっと颯介を見上げている。
「お腹が空いたのかな?」
暢気にも颯介は、猫をあやすかのように顎の下あたりを撫でてやっている。
「へぇ…餌さとかやるんですね、やっぱり味噌なんですか?」
「いえ、雑食ですから。何で味噌だと思ったんですか?」
冬四郎も撫でてみたいのか、管狐をちらちらと見ていた。
「むつが言ってたんですよ。管狐は、信州方面に生息してるから、好物は味噌かなって」
「むっちゃんは、そういう事、詳しいですよね。想像力もあるし、人の雰囲気で物事を推し量る事も得意ですし」
「そうですね…今回はそれが仇になったのかもしれませんが」