70/121
4話
鍵のかけられていた部屋も開けて、中を確認してまた鍵をかける。その繰り返しばかりで、特に成果もなく冬四郎の顔に焦りが見えてきた。
「残るは教授棟ですね」
警備員が、ちらっと冬四郎の方を見た。まだ付いてくる気か、というような顔をしていた。
教授棟だけは、他の棟から切り離されたように建っていた。行くには1度、外に出なければならない。
警備員に続いて三人も外に出た。埃のような匂いがして、ぽつりぽつりと雨が降りだしていた。
「むっちゃん、どこに行っちゃったんでしょうね…何も無ければ帰らなきゃいけない、どうしますか?」
冬四郎の隣を歩く颯介にもこれ以上の手立てが浮かばないようだった。