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1話
「それは違う。俺とみやは、沼井が何を企んでるのか探ってる途中だ」
「バックがあるって事?」
好物のむね肉に生姜を沢山のせ、ごま油をつけ紫蘇にくるんで、むつは口にほうりこんだ。
咀嚼して飲み込む様子を社長が、じっと見ている。
「ま、何でも良いけどさ」
ビールを一口飲み、むつはタバコを唇の端でくわえた。火をつけようとしてやめた。タバコを口から外してライターと一緒に手に持った。
「わざと、ってのは許されないよ」
むつの言葉をどう理解したのか社長は黙ったまま、ぐいっとジョッキを傾けて残りのビールを飲み干した。
「この前のみたいにか?」
「そう。あとから調べたけど…ベッドタウン計画の為にお祓いもせずに塚を移動じゃなくて、壊したみたいね。何か起きるとわかってて」
むつもビールを飲み干すと店員を呼び、追加で生ビールを2つ頼んだ。