69/121
4話
きょろきょろしている祐斗を置き去りに、颯介は冬四郎と並んで歩いていた。二人とも体格が良いだけに、並ぶと壁のようだった。ただ、身長は颯介の方が少しばかり高い。
「学祭で、むっちゃん何か言ってませんでしたか?」
警備員に聞こえないように、少し距離をあけて小声で颯介が聞いた。
冬四郎は首を振るだけだった。
「視線を感じるっていうのは聞きましたが…それ以外には」
「あぁ、男達のってやつですね」
颯介の少しバカにしたような言い方に、冬四郎はむっとした様だった。
祐斗は大柄な男達の不穏な雰囲気を察したのか、何も言わずに後ろをついていくのみだった。