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3話
二人とも、入って行く姿は確認出来たが、出てくる姿はなかった。
「ご協力、ありがとうございました」
冬四郎は、そう言うと警備室を出た。
「出てきてない…まだ学校の敷地内に居ると思っていいはずだ」
「けど、死角になってる所もあるはずなんじゃないんですか?」
「確かにね。けど、ここのカメラ…見てあれだけど、新しいやつだよ。カメラがどこを向いてるのか分からない仕組みのね、これで死角がどこなのか分かる奴はそう居ないよ」
「って事は、やっぱりむっちゃんはまだこの中って事ですか?」
「可能性としては高いかと…谷代君、学祭はいつ終わるのかな?」
「えっと…17時には一般客は出て、学生も19時には出ていく事になってます」
冬四郎は、腕時計を見た。
「後、4時間もしたら校内は空だ。その時に、隅々まで調べよう」