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3話
そんな後悔の混じった様な会話をしていると、突然運転席の窓をコンコンと叩かれた。
「宮前さんっ」
颯介がちらっと後部座席の方に目をやると、冬四郎はさっと乗り込んだ。
「電話下さるかと思ってたんですが」
「しようと思ったんですがね、見慣れた車を見付けたと思ったら、湯野さんと谷代君が見えたもんですから…それで、むつはまだ見付からずですか?」
意外と早くやってきたわりに、冬四郎が落ち着いている様子だった。
「まだです。携帯の電源も切れてます」
「そうですか…探してるのを気付かれたんでしょうね」
颯介と同意見のようだ。
「言われたリスト用意しました…これを見て何が分かるんですか?」
「ありがとうございます、それは何とも…祐ちゃん行方不明になってる人の名前分かる?」
鞄からノートパソコンを取り出し、冬四郎は電源を入れて立ち上げている。
「ビラ貰ってきます‼」
ようやくやれる事が出来たせいか、祐斗は走って校舎の方に向かっていった。