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3話
「少し休憩しようか」
「探さないんですか?」
「収穫はないと思うよ。電源切られてるみたいだからね」
「それってヤバくないですか?」
颯介が、階段を降りていこうとするのを祐斗が慌てて追う。
「意図的ならば…探してるってのはバレたんだろうね。なら、1度引こう」
「そんなっ…でも、その間に何かあったらどうするんですか?」
「人の多い時に何かするとは思えない」
「けどっ‼」
颯介のいつになく険しい表情に祐斗は押し黙るしかなかった。何かをしようにも、何も出来ないのも事実だった。
「車に戻って、宮前さんを待つ。ついでに学校から出ていく人達の監視もする」
周りに人が居るわけでもないのに、颯介は祐斗にだけ聞こえるように言った。そして、さっさと階段を降りていく。