3話
祐斗に案内されながら先ずは昨日、むつ達を案内した通りに行く事にした。学部ごとに棟が建てられており、人が多いとは言えないが、そこそこ居る。
研究発表のされてる部屋を覗いていくが、むつの姿はない。通りながら鍵の空いている部屋も全てチェックしながら、歩いていくのはなかなか時間の取られる作業ではあった。
だが、その成果なのか祐斗は何人かの見知った先輩達に会う事が出来たので、むつを見掛けなかったか聞けた。
昨日のむつは、身内贔屓と言われたとしても綺麗で可愛らしく見えていた。それに加え、肩や足を出して学生でもない事から男達には覚えられていた。むつが無駄に愛想良かったのも、加算されては居るだろうが。
「昨日、俺と一緒に居た女の人、今日もここにキタリしてませんか?」
「あぁ、あの黒髪美人な‼パンツスタイルで黒渕眼鏡ってのも良いよな~」
「谷代の知り合いか?紹介してくれよ」
「いや、まぁ…あのバイト先の先輩なんです。じゃなくて、見掛けましたか?」
「あんな人と働けるなら、何でもするよなぁ」
声の大きな先輩のせいで、離れた場所に居る颯介にまで聞こえてるんじゃないかと祐斗は心配だった。
「ん?パンツスタイルに眼鏡?って今日も見掛けたんですか?」
「あぁ、ここには寄ってないけどな」
「どこ行ったか知ってますか?」
「探してんのか?」
「そうなんですよ。研究発表見るのが好きみたいで、気付いたらはぐれちゃって…今、探してるんです」