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3話
「あぁ、こっちこそ、ごめんね。他には何か聞いたりしてないかな?」
「いえ…無いと思います。あの、やっぱり佳澄も噂通りに…?」
「噂?」
「学祭の時に行方不明になって帰ってこない人が出るって言う…毎年誰かが、しかも女の子だけが居なくなるって」
「毎年なの?」
祐斗は初耳だったようだ。
「うん…大概うちの学生だけど。毎年誰か居なくなるって聞いたよ」
「いつ頃からそんな噂が出てるのか知ってる?」
「さぁ?それは分からない」
「そっか。また何か思い出したら教えてくれよ、俺も寺井が心配だしさ」
祐斗が、颯介を真似るように柔らかく笑って礼を言った。だが、女子学生の目は颯介の方に向いていた。