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3話
「えっと…学祭前なんですけど。ストーカー?何か変に誰かに見られてる感じがしてるって言ってました」
「それはいつ頃からか聞いてる?」
女子学生は、少し考えるように黙った。
「5月の終わり頃か今月の始めくらいからって言ってと思います」
「そう…他には何か聞いてる?例えば、最近別れた男が居るとか、どっかに出掛けて何かあったとか」
「そういうのは全くないですね。好きな人が居るってのを聞いてるくらいで」
そう言いつつ、女子学生はちらっと祐斗の方を見た。颯介は、その視線の動きを見逃さなかった。
「そのストーカーっぽい視線っていうのは、学校内でだけの話なのかな?」
「そこまでは…」
颯介は、ふーんと唸った。その声は、収穫の無さにがっかりしてるのか、悩んでるのか判断出来ない声だった。
女子学生は、その声をがっかりしてる方にとらえたようで、慌てて謝った。




