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2話
大学に着くと、学園祭最終日とあってか、大学の下見に来ている高校生なんかも居て、昨日より人は多い。
むつは歩きながら、祐斗の携帯に電話をしていたが、出る気配はない。
「祐ちゃんを探そう。見付けたら、あっちに食堂あるからそこで、電話して。わたしは館内みて回ってくる」
それだけ言うと、むつはすぐに人混みに紛れて見えなくなってしまった。
颯介は仕方なく一人で、学生達の多いキャンパスを歩き回ることになった。襟元から、人が多いのが気になるのか管狐が少しだけ顔を出しているのを、そっと服の中に押し込んだ。
むつが館内を見て回るという事は、颯介はこの人混みの中から祐斗を探さなくてはならない。
だが、人も多いしどれもこれも似たような雰囲気ばかりで、難航しそうだった。それでも、人より背の高い颯介は目立つ。もしかしたら、祐斗の方が見付けてくれるかもという淡い期待を胸に、のんびりと歩き回ることにした。