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2話
「どうした?」
「やけに…何だろ?変な視線が」
祐斗と冬四郎は、顔を見合わせた。変な視線を邪な男達が向けている視線だと思ったのだ。
「むつさん、それって」
言いかけた祐斗の言葉を冬四郎が、手を上げて遮った。
「そんなに肌を出してるからだ」
意外にもきつく聞こえた冬四郎の声に祐斗が驚いたように目を見開いた。
「は?」
むつは理解出来ない、といった表情をしていた。言われてる意味が分かってないのか、自分の足元に視線を向け、そして冬四郎に視線を向けた。
「宮前さん、あのっ…むつさん?」
むつは河豚の様に頬を膨らませた。
「人間の話なんかしてないよ‼そもそも、人がわたしを見るわけないじゃん。わたしゃ自意識過剰かよ」
「人じゃない?」
不貞腐れてしまったのか、むつはもう何も言わなくなってしまった。