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2話
祐斗に校内を案内して貰いつつ、むつと冬四郎が目をつけ立ち止まったのは、ゼミごとの卒業論文だったり研究発表だったりと、どちらかと言えば面白味にかけるような所ばかりだった。
むつが、学生に話しかけるたびに相手がちらちらとむつを盗み見してる事の方が、祐斗には気になっていた。
「あの、宮前さん」
「ん?」
「むつさんて休みの時っていつもあんな感じなんですか?」
むつが学生と話し込んでしまったので、仕方なく祐斗と冬四郎は離れた場所で待つしかなかった。
「さぁ?今日は湯野さんと出掛ける予定だったからじゃないのか?」
冬四郎の口調が少しばかり嫌味な雰囲気を帯びている事に祐斗は気付いた。それが面白くもあったし、何だか共感出来るようでもあった。
「なるほど…それでやけに女の子らしいんですね。けど、あれは肌出しすぎじゃないですか?」