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2話
週末。話の流れで颯介も一緒に学園祭に行く話になり、駅前で待ち合わせをする事になった。待ち合わせの5分前に、むつは着いた。
颯介は、まだ到着していない様だ。むつは、近くのベンチに座った。
梅雨の合間のよく晴れた日で、親子連れやカップルが楽しそうに笑いながら歩いている。蒸し暑いが久しぶりの晴れ間であり、人通りは多い。
むつは、そんな人たちを、ぼんやりと眺めていると、こちらに近付いてくる足音に気付き、視線を向けた。
「しろーちゃん?」
「やっぱ、むつか。スカートなんかはいてるから誰か分からなかったぞ」
今日のむつは、休日だからという事もありスカートをはいている。アシンメトリースカートにブーティ。肩出しシャツというシンプルなものだったが、髪も緩く巻き、きちんとメークしているせいか全然雰囲気が違う。