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1話
背筋を伸ばしていた祐斗は、あっという間に気が抜けてしまい、テーブルに肘をついて頬杖をついた。
「は?」
祐斗はその体勢のままでジョッキを傾けて、ぐびっとビールを飲んだ。
「いや、だから…むっちーとみやをくっつける作戦なんだよ‼」
聞く耳持たずな祐斗は、メニューをペラペラとめくると颯介と相談しながら何品か追加注文している。
「祐ちんっ‼聞けよっ‼」
「あーはいはい。その作戦に参加して、何か特典あるんですか?」
「今日の分と次の飲み代奢りで」
軽くあしらわれている社長は、少ししょんぼりとした様子で項垂れている。
哀れに思ったのか、祐斗はサラダを皿に取りながらちらっと颯介を見た。颯介は何を思っているのか、いつも通りの顔でジョッキを傾けている。