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1話
呼び出された祐斗は、よく分からないままに座らされ、ビールを注文された。社長の只ならない雰囲気と、疲れたような笑みを浮かべる颯介をみやった。
とりあえず届いたビールに口をつけた。誰も何も言わないのに焦れたように、祐斗がおそるおそる口を開いた。妙な緊張感に舌が乾く。
「あの…急を要するって事でしたが…仕事ですか?」
ビールのジョッキを傾けていた社長が、重々しく頷いた。
「この仕事は、難しい。だから、しっかりと打ち合わせをしないといけない」
その言葉にジョッキを傾けようとしていた祐斗だったが、テーブルに戻すと背筋を伸ばしいすまいを正した。
「けど、むつさん居ないですよ?仕事で遅れてるんですか?」
颯介は、下を向いて肩を震わせている。
「これは、むっちー抜きでやる‼良いか、題してむっちーにも春を大作戦だ」