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5話
病院に着き、一通りの検査を終えたむつはベッドで横になり、ぼんやりと白い天井を眺めていた。
病院の入院服の袖から出ている腕がには、点滴の針が刺してある。脱水症状が出ていたからだ。
本当は、すぐにでも水をがぶ飲みしたい気持ちだったが、室内に飲み物はない。
清潔な枕に頭を押し付けると、さらさらと髪の毛の音がした。泥まみれだったので、シャワーを使わせて貰い、髪の毛の泥も丁寧にすすいだ。それでもまだ、泥臭いような気がした。
する事もなく、疲れきっていたむつは、いつの間にか眠ってしまった。
かすかにドアをノックする音が、聞こえたような気がしたが今は頭を上げる気力がない。それほど疲れていたのだ。




