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5話
冬四郎が呼んだ警察が来る頃には、土砂降りの雨も小雨に変わっていた。
気を失っている真壁と佳澄は、救急車を乗せられて病院に運ばれていった。むつは救急車に乗る事を拒んでいたが、ふらついたりしていたので、冬四郎の手で救急車に押し込まれそうになっていた。
「後から病院行くから」
冬四郎にそう言われると、むつはしぶしぶ救急車に乗って佳澄と真壁同様、病院に運ばれていった。
到着した警察達がブルーシートを張り、白骨遺体の写真を撮ったり作業をしているのを、祐斗はぼんやり見ていた。
颯介は祐斗の肩に手を置き、帰ろうと促した。ここから先は警察の仕事だ。
祐斗は何度も振り返りながら、紫陽花の側を離れていった。女の子はもう姿を見せる事はなかった。




