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4話
むつは座り込んだままの祐斗に近付き、掌でぐいぐいと涙を拭ってやった。祐斗は恥ずかしそうにしつつも、されるがままだった。
「さ、手伝うから…ん?口切ったの?」
祐斗の唇にむつの指が触れそうになると、祐斗は頭を振って立ち上がった。
「手伝うって、何するんだ?」
「みんなを外に出して上げるんだよ。祐斗が紫陽花と約束した通りにね」
「けど、それは俺たち警察が」
冬四郎がそう言ったが、祐斗は紫陽花に近付くと、ぬかるんだ土を手で堀始めた。それを見ていたむつは、冬四郎の方を向いて肩をすくめせみせた。
「紫陽花を傷付けない事もだし、見付け出すって約束したのは、祐斗だからね」
そして、むつも祐斗の隣で膝をついて手で土を堀始めた。




