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4話
冬四郎は、じりじりと間合いを詰めようとして動きを止めた。
真壁の後ろから何本もの手が伸びている。そして、真壁を羽交い締めにするように掴んでいた。その様子を離れた所から颯介も凝視していた。
「何で…俺にも視えるんだ?」
冬四郎にも生きた人間の、手ではない事はすぐに分かった。
冬四郎が立ち止まっている間に、祐斗はむつのもとに向かっていく。
真壁が、嫌な笑い方をしながら鉈を持つ手に力を込め、手前に引こうとしていたが、その手は動かない。
女性達が掴んでいるからだ。
腕が動かない事に驚いた真壁は、ようやく何本もの手に掴まれている事に気が付いたようだった。