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4話
皆、真壁の身勝手さによる犠牲者だ。
そして、その女性たちの中に見覚えのないおかっぱ頭の着物の女の子が居た。女の子は、不貞腐れたような顔で祐斗を睨んでいる。
すでに犠牲となった女性達の足が、少しばかり浮いてるのに対して、女の子の足は紫陽花の根本の方に雲が流れるように繋がっている。
女の子は、紫陽花自信なのだと思った。そして、彼女は怒っているのだと気付いた。その怒りが光となり祐斗を呼んでいたのだと。
「そうやって毎年、誰かを殺してそこに埋めていたんですね」
祐斗は、佳澄を盾にするようにしている真壁の方に向かって歩いていく。
「谷代君?私に近づいたら寺井さんが死ぬことになるのが分からないのかい?」