俺とマリーさん、神殿に行く
俺は、彼女を抱え上げた、そう、お姫様抱っこってやつ、そして、寺院の奥にある初代宗主の像がある場所にいる、現宗主コルトミュに合いに行った。
「結論は出たようだな、金は返さんぞ。」
「かまわん。」
俺の金じゃないし、
「では、初めよう。」
コルトミュは、ボケットから小さな水晶玉を左手で取りだし、
「汝ら、二人は、何時如何なる時もお互いが、冒険者として助け合う事を誓うか!」
マリーが静かに言った、「誓います。」
俺も真似して、「誓います。」
コルトミュの左手の水晶が、薄く光り始めた、
「では、レイ殿、カードをこの水晶にかざしなさい。」
俺はマリーを抱きかかえていたので、ジュリエッタさんが、俺の腰のポーチからカードを出して、水晶にかざした。
俺には見えた、80万Gが引かれるのを、
コルトミュの右手に二つの指輪が現れた。
「これは、貴重なルーンの結晶、七個を使い造られた、冒険者と一般人を結び付ける、『結びの指輪』だ。
レイ殿は、マリエッタ嬢の左薬指に、マリエッタ嬢は、レイ殿の左薬指にそれぞれはめさせてあげなさい。」
左薬指? えぇぇぇぇ! これ、別れた女房に送った、○○指輪と同じなの!うっっそぉぉ!!
「レイ?」、マリーは不安そうに、俺の顔を伺った。
「大丈夫だ、マリー」、ちょっと驚いただけ。
俺は、マリーの左薬指に指輪をはめた。
マリーは、俺の左薬指に指輪をはめた。
その瞬間は、幻想的だった。
寺院の半円形に配置された、高い窓から光りは溢れ、彼女の全身を包み込んだ。
彼女の髪は黄金色に輝き、体全体は、青白の光が薄く輝いた。
「レイ、今なら立ち上がれそうだ。」
俺は、彼女を静かに、寺院の床に下ろした。
彼女は、立っていた、彼女の目は涙で溢れそして、呟いた。
「白龍様、感謝します。」
俺には、彼女の生命力と体力のバーが見えた、レベルも20と映っていた、彼女は、俺のパートナーである、ビショップとなった。
そして、俺が最後にすることは彼女に接吻することだ、キスじゃないよ、接吻だからね、もちろんしたさ。
マリーは、真っ赤な顔をして、驚いていた、
俺は、ウインクをしながら、
「俺の地方では、最後に神父さんの前でこうするのさっ、」
「神父さんですか?」
ジュリエッタさんは、まじまじとコルトミュ宗主を見ていた。
「コホン、うまくいったようですね、後は、組合で彼女のカードを作り、神殿の白龍様に伺ってジョブを決めなさい。
今、神殿は、オークの襲撃に備えて、一人でも多くの冒険者が必用だ、急ぎなさい。」
コルトミュ宗主は、俺達に神殿に戻るように勧めた。
「オークの襲撃?」マリーは、驚きの声をあげた。
そうだ、マリーは知らないのだ、オークの軍団が神殿に迫っている事を、
「マリー、一週間前に、神殿の巫女が予言を下した、あと一週間後に十万のオークの軍団が、神殿に白龍様を奪いに来るとね、」
「十万!」、マリーは絶句した。
「マリー、俺達は冒険者の成りたてだ、神殿には勇者ケイを筆頭に高位の冒険者がたくさんいる、神殿騎士団もいる、俺達がいけば邪魔になるだけだ、参加しなくてもいいんじゃね。」
これは、討伐じゃない、戦争だ、素人の出番は無い、神殿騎士団らプロの仕事だ。
俺は、この件に余り関わりたくなかった。
「そうもいかないようだぞ、何かが神殿に起きている、噂では、グリットン砦が落ちたとも聞く、更に神殿の避難民が大勢、此方に向かっている。」
「グリットン砦が落ちた!」俺は、驚いた。
あの難攻不落の砦が!ヤバイ、よけい神殿に戻りたくなくなった。
「レイ、いや、主殿、すぐに我々も神殿に行こう!」
マリーさん、俺の話し聞いてる?足手まといって言ったよね、神殿に戻りたくないんですけど!
俺が、困った顔をしていると、コルトミュ宗主が助け船を出してくれた。
「レイ殿、ここにも礎がある、一度戻って問題なければ、またすぐに、ここに戻って来ればいい。」
「主殿、是非、そうしよう!」
マリーさん、そんな嬉しそうな顔しないでくれ、戦争なんですよ!
「そう言えば、宗主、あなたはどうするのですか?神殿に行かないんですか?」
ゲームにとって、回復役は大事だ、是非、フレンド登録させて頂きたい、あればね。
コルトミュは、俺に呆れ顔で
「君が、世間知らずとは聞いていたが、私の事も知らないのか?私達、ビショップの郷の宗主は郷から離れられない、離れたら霊力が失なわれる。それが、秘法を手に入れた、我らに対する、白龍様の対価だ。」
「白龍様の対価ですか?」
「そうだ、白龍様は、無償の奉仕はしない、必ず、対価を要求される、冒険者が魔素を献上して強くなるように、我々は、この地の守護だ。」
しかし、俺は、レベル40になるのに白龍様に対価を払った記憶がない。
記憶がない事が、対価なのか、俺の過去の記憶は、全て噂なのか?
俺は、無性に不安になった。
震えている俺を、マリーは勘違いした、
「大丈夫だ、主殿、あなたを、私は命をかけて守り通す!」
俺とマリーは、取り敢えず礎で神殿に戻った、そこで見た広場の光景に、二人は愕然とした。
それは、ゲームで言う過疎ってるとゆう、状態だった。
「主殿、これはいったい、・・・」
「わからない、取り敢えず組合に行ってみよう。」
本来なら、オークとの戦いに、万を越す冒険者がいるはずだ、何故いない?
あれほど混雑していた組合も、閑散とし、受付カウンターにはアースボルトと他一名しかいなかった。
「よぉ!アース、暇してんねぇ。」
「レイ!お前逃げたんじゃないのか?」
アースボルトは、お怒りぎみ、
「おぃ、人聞きの悪い事言うなよ、俺は、ビショップに合いに、『ビショップの郷』に行ってただけだよ、こちら、俺のビショップのマリーさん、手続き頼む。」
「お前なぁ、まあいい、このカードを持って名前を言いなさい。」
アースボルトは呆れ顔で、カードを出してマリーに渡した。
「マリエッタ ドリーダ」
カードは光った、ドリーダの名前を聞いて、アースボルトは、眉をピクリとさせたが、あえて何も言わなかった、出来る男は寡黙だ。
「マリーさん、カードの説明はレイから聞いてくれ、レイそれでいいな。」
「ああ、俺から説明しておく、ところで、他の冒険者はどこに集合しているんだ?」
アースボルトは、ちょっと驚いて、
「なんだ、お前達知らないのか?冒険者は来ないぞ!」
俺とマリーさんは、すごく驚いた。
戦争に冒険者がこない、まさかの、急展開!!