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ドラゴンズ&ドラゴン  作者: H氏
始まりの大地編
8/39

俺、マリーさんを好きになる

 金髪西洋美人のマリーさんを紹介された俺は、さっそく彼女と一緒に魔物の討伐をすることにし、


その用意をした後、昼過ぎに、寺院のエントランスで待ち合わせをすることにした。


彼女は、練習着ではなく、正式な騎士のアーマーを着けて、俺の前に現れた。


それは、ゲームではパッケージ販売されたマーキュリーシリーズだった。


フランスのルイ王朝時代の騎士服を模したデザインで、ロングコートのようなピンクと白の胴アーマー、銀のブーツ、白の腕アーマーは、彼女の金髪に良く似合い、まるで、王族のような、気品と気高さを醸し出していた、


俺は、彼女に見とれてしまった。


「そんなに私を、見つめないでくれ、恥ずかしいじゃないか、」


俺は、基本、人を誉めない、照れ屋だからだ、別れた女房も、俺のこの性格に対して、愚痴を良く言っていた、しかし、この時の俺は違っていた。


「すまない、君が、あまりにも素敵だから、良く似合っている。」


言っちゃったよ、歯の浮くようなセリフ!


彼女は、真っ赤な顔をして、


「そっ、そうか、お世辞でも、誉められると嬉しいものだな、この武器も、防具も我が家に代々伝わる骨董品なんだが、良かった。」


この後、俺達は、討伐を日が暮れるまで楽しんだ、そうだ、まるでゲームのように楽しんだ。


彼女は、確かに強かった、スキルもアビリティも持っていないのに、剣筋は、早く正確であり、俺のように剣が、ぶれる事もなく、刺す、切る、叩く、どれをとっても、優雅で華麗だった。


俺と言えば、バカの一つ覚えの『一閃突き』のスキルだけで、後は、素人丸出しだった。


そして、五日間がすぎた。


本当に、ゲームのような五日間だった。


本来、俺は、MO、マルチプレイヤーオンラインゲームが好きではない、現実の人と人の煩わしさを、ゲームの中の仮想現実に、持ち込むのが嫌いだった、ゲームとは理想だ、そこでは、別れた女房も美化される、そうゆうものだ。


では、一人が好きかと言えば、そうではない、ソロプレイヤーは寂しがりやだ、だから、NPC、ノンプレイヤーキャラクターに多くの事を求める、より人間に近く、より賢く、より俺を愛して欲しいと、かなえられない夢と知っていても、


彼女は、MOゲームのプレイヤーなのか?理想のNPCなのか?答の出ない五日間だった。


俺達は夢中になりすぎて、橋を越えてしまった事に気が付かなかった、そして、


その先に妖鳥がいる事を、妖鳥と言う二つ名の大猿がいる事を、俺は忘れていた!


三メーターを越える巨猿魔物、長い丸太のような両腕を、鳥の翼のように振り回すことから妖鳥と呼ばれるドレッドエイプ、


レベルは15、決して高くはない。


「マリー、先に逃げろ!!!」


魔物のレベルが分かる俺は、俺と奴のレベル差から、奴を倒せると判断した。


だが、彼女は違った、彼女は俺の事を自分のために無茶をする、初級冒険者と思った、彼女は逃げなかった。


早く倒そうと、俺が焦って放った不完全なスキルは、奴の太い腕に弾かれ、それにより、弾き飛ばされ転がった俺に、エイプは両腕で俺の首を掴み、上に持ち上げ、首を締めあげた!


森に響き渡る、エイプの雄叫び、俺を処刑するかのように振り回しては、何度も、

大地に打ち付けた!


俺は、衝撃と死にそうな痛みで悲鳴をあげ、生命力のバーはぐんぐん削られた!


「レイィィィィ!!!」絶叫が木霊し、マリーは、エイプに後ろからよじ登り、そして頭にしがみつき、エイプの弱点である、頭を何度も剣で刺した!


「グギャギギャャヤヤヤャャ!!」奴は、咆哮をあげ、俺を手放した。


投げ出された、俺は直ぐ立ち上がる事ができず、声なき声で叫んだ、

駄目だマリー、奴は飛ぶんだ、奴から離れろ!!!、声は届かなかった。


エイプの得意技、三メーターを越えるバックジャンブは、しがみついているマリーと一緒に背中から地面に落ちた、


大地はマリーを押し潰し、嫌な音が聞こえた。


俺は、たぶん叫んでいたと思う、スキルは自然に発動され、『一閃突き』はエイプのどてっ腹に、穴をあけ、大地を踏み締めた、『天蓋切り』は、奴の頭を打ち砕いた。


エイプの生命力のバーは、ゼロになり、奴は、血だらけのマリーを残して消えた、


俺の意識は現実に戻った。


「さすがだ、、レイ、、ゴホッ、き、君は、やっぱり、ゴホッ、強いゴホッ、冒険者だゴホッゴホッ、」


マリーは、生きていた、彼女は血を吐きながら、俺に話し掛けてきた、弱々しく、立ち上がる事すら出来ず。


「マリー!しゃべるな!、今、薬を飲ます!」


「無理だ、ゴホッ、私には利かない、ゴホッ」


俺は、マリーに駆け寄りポーチにある『癒しの薬』を飲ませた、だが、本当に薬は効かなかった。


「何故だ!!」、震えながら、俺は叫んだ!


そんな、俺を優しい目で見ながら、弱々しくマリーは、俺の名を呟いた。


「レイ、、、」


俺は、寺院にいる高位のプリーストなら、レベルの高い回復魔法が使える彼らなら、彼女を助けられる。

そう思い、彼女を抱きかかえ、必死で寺院まで走った、


しかし、現実は過酷だった。


高位のプリーストで現宗主コルトミュは、俺に言った、


「霊力は、一般人には効かない。」


俺は、その言葉を繰り返した、


「一般人に、・・・効かない・・・!」


「霊力が効くのは、霊力の加護がある冒険者だけだ、これは常識だ!」


「では!彼女はどうなるんだ!」


俺は、コルトミュに掴みかかり怒鳴った。


「どうにもならない、彼女は鍛えていたので死ぬ事はなかったが、下半身が潰されている、二度と立ち上がる事はできない。」


「では、彼女をビショップにすれば、彼女は治るのか、俺は、彼女を俺のビショップにする!」


俺は、この時、初めて決断を下した。


「君は、彼女の事を聞いてないのか?ジュリエッタ、彼に彼女の事を話していないのか?」


コルトミュは、呆れた顔で、隣にいたジュリエッタに聞いた。


「二人の問題なので、私からは、」


コルトミュは、少し思案した後、


「では、再び二人で話し合いたまえ、結論がでたら、私のところに来なさい、私はいつも初代宗主の像の前にいる。」


俺は、ジュリエッタとマリーの部屋へ行った。


ベッドに寝ていた彼女は、俺達に気付くと起き上がろうとした。


「そのまま寝たままで聞いてくれ、俺は君を俺のビショップにしたい、受けてくれ。」

俺は一気にまくし立てた。


彼女は一瞬嬉しそうな顔をした後、暗く沈んだ表情になり、静かに言った。


「・・・その申し出は嬉しい、だが、私には、その申し出を受ける資格がないんだ、レイ」


「意味わからねぇ!マリー!」


「私は、君に一つ隠し事をしている、レイ、君は、私の名前から何を想像する?」


「ドウ渓谷にある、城!」


彼女は、嬉しそうに俺に言った。


「やはり、君は、ジュリエッタ嬢が言った通り、とんでもない世間知らずだ、世間では、ドリーダとは、白龍様に逆らいし反逆者の名前なんだ。」


「ねぇ、言った通りでしょ。彼はとんでもない、世間知らずよ」ジュリエッタは、笑いながら言った。


「長い話しになる、二人ともその椅子に座って私の話しを聞いてくれないか。」


マリーは、俺達にベッドの脇にある二つの椅子に座ることを勧めた。


彼女の話しは長かった。


かって、この国には王がいた、王は良き王であり、白龍様を祭る神殿とも信頼があって、国は栄えた。


時は過ぎ、王も幾世代と交代し、やがて、白龍様の力に疑問を持つ一人の王が現れた、名をドリーダ


何故、白龍様はその力を民に振り分けるのか、我ら王族こそがその力を引き継ぐのに相応しい、


何故、白龍様は神殿にいらっしゃるのか、この王城こそが白龍様に相応しい、


最初は、小さな疑問が、やがて大きな不信感となり、それは確信となった。


その時、たまたま神殿の元老院に小さな不祥事が起きた、


王は、それを理由に神殿に白龍様の引き渡しを要求し、神殿は拒否した。


王は、神殿に対して謀叛と決め付け、精鋭の兵士、三万を神殿に送った。


神殿は礎にある転移の力で、各地にいる冒険者を呼び寄せた、その数、千人


王は、勝ったと思った、だが、冒険者の力は圧倒的だった、三万の兵士は千人の冒険者に蹂躙され、王は捕らえられ、白龍様の前に引きづり出された。


白龍様は、同族同士の争いを認めない、白龍様は、王を、王の一族を未来永劫、加護の受けられない『反逆者』とした。



・・・だから、ドリーダの子孫である私は、冒険者には成れない、ではビショップに成れるのか、今まで、我が一族で、ビショップになれた者はいないんだ。レイ」


「では、何故、君はここに居たんだ。」


「諦め切れなかったんだ、何時か、白龍様から、許される、我が一族が救われると、私を救ってくれる冒険者が現れると、・・・だが、もういいんだ、レイ、

この五日間は、私は幸せだった、冒険者になれた夢を見れた、だから」


「だめだ、マリー、君を俺のビショップにする事を、俺は諦めない!」


そう、俺は諦めの悪い男なのだ、セールスマンは、諦めたら終わりなのだ。


「レイ、しかし、・・・」


「大丈夫だ、マリー、俺には自身がある。」


横で、ジュリエッタさんが行け、行けって親指立てるんですけど。


「それに俺も、君に隠し事をしている、俺には女房がいた、俺はその女房に棄てられた、だから、君にまで棄てられたくない。」


マリーは笑いながら、


「それは、すごい秘密だな、君程の男を捨てる女性がいるなんて、」


「行こう、二人で、宗主のもとへ、」


俺は、彼女を抱え上げた、そう、お姫様抱っこってやつ、そして、寺院の奥にある初代宗主の像がある場所にいる、現宗主コルトミュに合いに行った。

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