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ドラゴンズ&ドラゴン  作者: H氏
始まりの大地編
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俺、マリーさんと出会う

 巫女ちゃん降臨を見た俺は、好奇心が満たされたので、お告げは無視して、旅立つことにした。


アースボルトに、ミスリス森林に行くと言ったら、大騒ぎする事間違いないので、黙って出発する事にした、道順はゲームをやり込んだので、分かる。


確か、トロ村の東の川沿いの道を、南に下って行けばミスリス森林に着くはずだ。


トロ村で歩いて一日、今から出て着くのは夜だ、そこで一泊して、村を早朝に出発すれば、俺の距離感が正しいとして、夕方には『ビショップの郷』に着く。


出発の準備に、『癒しの薬』を10本購入し、それはすぐ使えるように、腰のポーチに収納した。


今回は金があるので、追加で『癒しの薬』10本、鉈10本、投げナイフ10本、食料として、ハーブサラダとミートローフをそれぞれ10食分購入して、カードに収納した、カード便利すぎ。


トロ村への道も三回めなので、もはや俺にとっては庭のような感覚だ、予定通り、夜には着いた。


今回は、組合の宿だと、エリアマスターのウェイノードが五月蝿そうなので、民間の宿に泊った。


確かに組合の宿より安っぽかったし、風呂も無かった、それに値段も高かった。


メシもまずそうなので、夕飯はカードのミートローフですました。

朝は、カードのハーブサラダですまし、すぐにトロ村を後にした。



 俺は、トロ村の東の川沿いの、舗装されていない街道を南に下った。


川幅は広く、朝日が水面に反射して作る、光の道は美しい、歩くこと一時間、南ハイドル大橋が遠くに見えてきた。


木製の大きな橋である南ハイドル大橋の先は、ミスリス森林になる。


これから先は、登り坂で、道幅も狭く、木々は森林に、川は渓谷となった。


木々の隙間からの木漏れ日も美しく、時が経つのを忘れる事ができた。


行き交う人も少なく、ほとんどが、冒険者を護衛に雇った荷馬車だけだった。


さすがに、ここまで来ると、ゴブリンやオオカミ等の魔物と遭遇するようになってくる、一応、スキルで退治した、もちろん、素材も回収した。


登り坂はやがて、下り坂となり、


『ビショップの郷』に向かう橋に到着した、その頃になると日も傾き、時間は夕方になっていた。


『ビショップの郷』は、山の山頂にあり、蛇行した細い山道を登って行かねばならない。


山の中腹あたりで、完全に日が落ちて夜になった、魔物もオオカミから、スケルトンに変わる。


この辺りのスケルトンは、レベルはあまり高くはない、メイジは詠唱中にスキルで破壊、ファイターのスケルトンは、見つけしだい、スキルを打ち込んだ、拾える素材は骨だ、もちろん回収した、これからは、金が必要だからね。


『ビショップの郷』は、山頂に建つ巨大な寺院で、ゲームでは、地下に死んだナイトが行く、冥界の門がある設定だった。


俺は、大きな入り口の横にいた、衛士に来訪の目的を告げ、中に入れてもらった。


夕飯は、ここの僧侶達は、精進料理なので、自分のミートローフをカードから出して食った。


客室も小さな一人部屋で、ベットがあるだけ、質素な作りだった。


とりあえず、今日はもう夜で、遅い、俺は、何もする事がないので、寝る事にした。



 翌朝、精進料理を朝飯として、僧侶達と一緒にいただいた後、冒険者仲介担当のジュリエッタさんを介して冒険者に成りたい希望者と、合うことにした。


希望者は、日頃、この寺院の地下にある、鍛練場で己自身を鍛えているそうだ。


もちろん、地下にはゲームのような冥界の門等無かった。


鍛練場の中の様子を見た俺は、愕然とした、まさしく、開いた口がふさがらない状態だった。


中にいたのは、全員、二メーターを越す、巨漢で、鍛えられた筋肉が隆々としている、野郎達だった。


俺の表情を見た、ジュリエッタさんは、やれやれとゆう顔しながら、言った。


「どうやら、あなたは、私共のことをあまりご存知無かったような、ご様子ですね。」


「・・・田舎者なので、」


まさか、ここで、この言い訳を使うとは、


なんだかなぁ、


「当方の仲介を利用する方のほとんどは、女性の冒険者で、それもジョブがハンター、プリーストか、ソーサラの後衛職の方です。


男性の冒険者の方は、特別な方以外は、ご自分で、希望者を連れて来るのが普通ですし、また一般の女性の方は、無理して冒険者になろうとはしませんので。」


えっっっっっっ!じゃ、今まで、俺、特別な人に見られていたわけ!そう言えば、奥の方で、俺に熱い視線を送っている、ナイスガイがいらっしゃる、俺は、すかさず、尻を手で塞いだ。


「当寺院の秘法とは、かって、前衛職のファイター達に、裏切られて命を落とすプリーストが、後をたたない時代に、それを憂いた当寺院の初代宗主が、

白龍様にお願いして、心優しき一般人と冒険者が共に手を結んで、生きて行けないかと願い、白龍様が初代宗主に授けられた力、それこそが、初代宗主が授けられた一般人と冒険者を結びつける霊力、

今日まで、代々の宗主に受け継がれてきたその霊力こそが、当寺院の秘法なのです。」


「ですから、ここにいる方々は、白龍様を信じていない異教徒ですが、一年以上、当寺院で預かり、心根を確かめられた、かつ、当院が果たす、過酷な修練と修行を乗り越えてきた者達だけなのです。」


最後は、売り込みが入っているよ、ジュリエッタさん!だけどよ、野郎、野郎だぜ、80万Gだすんだよ、ロマンないじゃん、それなら、駆け出しのマッチョマンに、仲間酒場で声掛ければ、いいんじゃねぇ。


結局、アースボルトが正しかった分けだ、現実は甘くないってことか、がっかりだぜ。


悲嘆にくれている俺を、しばらく見ていたジュリエッタさんは、ちょっと考えてから、俺に言った。


「当寺院に、一人だけ、冒険者希望の女性がいらっしゃいますけど、お会いになられます?」


現実を知った俺は、相手が女性と言っても性別だけで、ゴリラと会っても驚かない決意をして、その女性と合うことにした。


ロングパッ金の西洋美人さんだった!


サプライベストとサプライボトムを着た彼女は、俺に気付かず、この別棟の小さな修練室で、一心に木剣を振っていた。


その型は、素人の俺ですら分かるほど、美しく、また、相当な修練と修行を積み重ねた、成果の賜物である事が読み取れた。


それに、ベストが体にピッタリしているため、俺には分かる!ボンキュッバンである事が!


ジュリエッタさんが、彼女に声を掛けた。


「マリー、お客様よ。」


彼女は、木剣を振るのを止めて、此方を見た。


「ジュリエッタ、」


「此方の方は、ビショップを、お探しになられている、冒険者のレイ ハリー ハウゼンさん」


彼女は、ニコリと微笑んで、私に手を差しのべてきた、此方の挨拶も握手だ、


「失礼した、私は、マリエッタ ドリーダ、


マリーと呼んでくれ。」


ドウ渓谷にある、廃城と同じ名前だ、ドウ渓谷の出身者か?


「こちらこそ、俺は、レイ、よろしく。」


俺は、彼女の手を握った、彼女の手は、小さく柔らかかった。


「失礼だが、レイ殿は、高名なソーサラとお見受けしたが?」


「すまん、残念だが、俺は駆け出しの冒険者で、ファイターなんだ。」


マリーは、困惑した表情を浮かべて、ジュリエッタの方を見た、


「大丈夫よマリー、彼は冷やかしではないわ、ちゃんとこちらで確認してる、

それに、たぶん、彼、あなたが見た通りの人よ。」


見た通りって、ジュリエッタさん、俺の見た目は、疲れた四十代後半の中年サラリーマンなんですけど、ハードル上げすぎ!


「そうか、レイ殿、失礼をした、安心してくれ、私はあまり容姿にこだわらない性格だ。」


安心できないんですけど!その言い方!


ジュリエッタさん笑ってるよ。


「まぁ、ここら辺の弱い魔物で、お互いの連携を試してみたら、いかがですか。

レイさんは、一週間、ここでの滞在許可がおりています。その間に、お互いで話し合い、結論を出して下さいね。」


おっ、ゲームで言う、お試し版ですね。


「それはいい、是非、レイ殿に、私の腕を見てもらいたい!さっそく、午後から森に、一緒に行きましょう。」


やった!べっぴんさんとの討伐!ゲームだったら、一緒に狩りしませんか、ですよ!男のロマンだよ。


そんな浮かれている俺を見て、ジュリエッタさんは、心配そうに、


「レイさん、絶対、ここら辺だけですよ、奥地には行かないで下さいね、奥地の魔物は強いですから、

冒険者のあなたは大丈夫かもしれませんが、マリー嬢は、いくら鍛えていると言っても、まだ一般人です、そこのところ、忘れないで下さい。」


俺が、この世界に来てまだ十日、一般人と冒険者の違いを理解するには、あまりにも時間が少なすぎた。



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